厚労省は、医療上の必要性は高いと評価されたものでも、公知申請にはエビデンスが不足しており、治験の実施可能性も低いような場合、「開発が行き詰まることが想定される」との問題意識を示した。
こうした事案に対応するため、要望学会に対して使用実態調査の実施など、さらなるエビデンスの整備を行った上で要望するよう依頼することとした。
要望品目の医療上の必要性は、新薬の上市などによって低下することが考えられる。こうしたケースでは、開発を要望した学会側が要望を取り下げるなどの対応をとっていたが、今後は、開発を要望した関連学会に対して、必要性の再評価や要望の取り下げを打診するよう運用を見直す。
議論の公平化を図る観点から、検討会議で結論を得る事案については、要望提出学会の執行部に在籍している委員は、「議決に参加しないこと」とした。ただ、議論に参加することは可能とした。
また、医療上の必要性を評価する七つの専門作業班の効率化を図るため、作業班で全会一致となった意見をもって、検討会議の結論とする。しかし、全会一致に至らない場合には、同会議に上程して結論を得る仕組みとする。
作業班の結論は、検討会議の委員にも電子メールなどで事前に知らせるが、疑義が生じた場合には同会議で改めて議論する。要望内容の真意を的確に把握するため、作業班が関連学会からヒアリングを行えるようにもする。医療上の必要性を評価する基準のうち、有用性があると判断する際の要件も見直す。
これまでは、▽既存の治療法が国内にない▽欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の治療法と比べて明らかに優れている▽欧米等において標準的治療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる――の3点を要件としていたが、今後は、▽既存療法が国内にない▽国内外の臨床試験において有効性・安全性などが既存療法と比べて明らかに優れている――の2点とする。
厚労省は今後、同会議の運用見直しに関し関係学会などに通知する予定。