■14年度調査速報‐「がん管理料」届け出は21%
厚生労働省は22日、病院勤務医の負担軽減とチーム医療の実施状況に関する2014年度調査の速報結果を、中央社会保険医療協議会総会に示した。薬剤師を病棟に配置し、処方提案や投薬に関する入院患者への説明を行うことにより、診療科医師の8割以上が負担軽減につながったと評価していることが分かった。がん専門薬剤師を評価するため、14年度改定で新設された「がん患者指導管理料3」の施設基準の届け出は2割にとどまったが、400床以上の大病院では5割を超えた。
病院調査の結果によると、病棟薬剤業務実施加算の施設基準を届け出ている施設は全体の39・3%と、前回調査の16・2%から2倍以上に増えた。勤務医の負担軽減策として、薬剤師との業務分担に取り組んでいる施設は62・4%となった。その効果については「どちらかといえば効果があった」を含めて82・3%に上るなど、8割を超える施設が高く評価していた。
勤務医の負担軽減を要件とする診療報酬項目で、病棟加算を算定している施設は37・4%となった。そのうち81・4%が効果があったとしており、さらに看護師の負担軽減にも効果があったと回答した施設が83・3%に上るなど、薬剤師の病棟業務が医師、看護師の負担軽減に貢献していることが裏付けられた。
内科、外科、小児科等、各診療科の医師に調査した結果では、診療科で負担軽減策として行っている取り組みとして、薬剤師による投薬に関する入院患者への説明が64・6%、薬剤師による処方提案等が39・3%の割合で行われており、いずれも8割以上の医師が効果があったと評価していることが分かった。
病棟における薬剤師の配置状況は69・6%と7割に達し、特に400床以上の大病院では76・2%と、8割に迫る状況となった。病棟配置による医師の負担軽減効果については、投薬歴や持参薬など患者からの情報収集、医師への処方や服薬計画の提案、患者に対する処方薬の説明など、いずれの取り組みも8割程度の医師が効果ありと高く評価していた。
一方、薬剤部長等の責任者を対象に、薬剤師の病棟業務を調査した結果を見ると、昨年10月時点で病棟加算を届け出ている施設は40・7%となった。8週まで算定制限が緩和された療養・精神病棟における届け出は23・4%で、そのうち87・5%の施設が9週目以降も病棟薬剤業務を実施していた。実際、療養・精神病棟で9週目以降も病棟薬剤業務が必要との回答が80・0%に上った。
専門薬剤師による抗癌剤の副作用管理を評価するため、14年度改定で新設された「がん患者指導管理料3」(200点)の施設基準を届け出ている施設は全体の21・0%と2割程度にとどまったが、400床以上の大病院では53・0%の施設が届け出ており、がん専門薬剤師のほとんどは大病院で活動していることがうかがえた。
病棟における薬剤師の勤務状況を見ると、1週間当たりの病棟加算に該当する時間は、平均23・6時間と、週20時間を確保できていた。また、医政局長通知に示された薬剤師を積極的に活用することが望ましい業務については、93・0%とほとんどの施設が実施しており、病棟で薬剤師が積極的な業務展開を行っている状況が見て取れる。
14年度改定で病棟加算の算定制限が8週まで緩和された療養・精神病棟では、5週目以降も病棟薬剤業務を実施している施設が65・5%に上り、これら施設のほとんどが、既に14年度改定より前から実施していた。