細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術を発展
株式会社島津製作所は4月20日、代謝物の網羅的解析「メタボロミクス」の分析技術の確立・発展とアプリケーション開発を目的として、大阪大学大学院工学研究科に「大阪大学・島津 分析イノベーション共同研究講座」を設置し、本格的に研究活動を開始したことを発表した。メンター教員は同大の福﨑英一郎教授で、設置期間は2014年12月1日~2017年3月31日まで。
画像はプレスリリースより
メタボロミクスは、生体内の代謝産物を網羅的に検出・解析し、その挙動を精密に捉えることによって細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術のひとつ。医学分野では生理・病理機構の解明や疾患のバイオマーカー探索等、植物・食品分野では、植物等におけるストレス応答の解明や食品の機能解析など、さまざまな分野に応用可能な汎用性の高い技術として注目を集めている。一方、複合領域かつ新領域の研究分野であるため、技術開発や運用法は発展途上にあり、さらなる技術の発展が求められていた。
質量分析計を用いた解析プラットフォームの研究開発を実施
今回設置された共同講座では、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計や液体クロマトグラフ質量分析計、超臨界流体クロマトグラフ質量分析計およびイメージング質量顕微鏡を用い、サンプルに含まれる代謝物の総量を測定する定量メタボロミクスと、分布情報を視覚化するイメージングメタボロミクスの両面において共同研究を実施。メタボロミクス技術の最適条件を検討し、アプリケーション開発を行うことで、メタボロミクスの更なる普及・発展への貢献を目指すという。
島津製作所は、複雑で多様な成分の一斉分析に威力を発揮する質量分析技術について、長年の製品開発による知識と経験の蓄積があり、それらを生かしてメタボロミクスのニーズへの対応を進めている。一方、大阪大学・福﨑研究室は、メタボロミクス解析手法の開発および応用において第一人者であり、前処理方法や分析手法、データ解析手法等についても最先端の知見を有している。
▼外部リンク
・株式会社島津製作所 プレスリリース