同試験の第1例目の投与は日本人患者に
ドイツのメルク社とアメリカのファイザー社は4月20日、白金製剤併用療法を受けた後に増悪をきたしたステージIIIb/IV非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、免疫療法の治験薬「avelumab」(MSB0010718C)とドセタキセルの有効性と安全性を比較評価する第3相国際試験を開始し、第1例目の投与を開始したことを発表した。同試験に組み入れられた最初の患者は日本人だったという。
avelumabは、がん治療に革新をもたらすことが期待されている完全ヒト型抗PD-L1 IgG1モノクローナル抗体(fully human anti-PD-L1 IgG1 monoclonal antibody)。2014年11月に、両社が共同開発および共同販売をする戦略的提携の締結を発表していた。
2015年に開始予定の試験のうち、初の承認申請用試験
今回の第3相試験は、1対1無作為化非盲検多施設共同臨床試験。この試験には、北米、南米、アジア、アフリカおよび欧州の30か国以上、290の試験施設から約650名の被験者が参加する予定だ。北米ではメルクに代わり、アメリカとカナダで同社のバイオ医薬品事業を展開するEMDセローノが臨床試験を実施する。同試験は、avelumabに関するJAVELIN臨床試験プログラムの一環となる。
対象のステージIIIb/IVNSCLC患者はPD-L1の発現状態にかかわらず、avelumabまたはドセタキセルの投与を受ける。主要評価項目は、白金製剤併用療法を受けた後に増悪をきたした、プログラム細胞死リガンド1陽性(PD-L1+)のステージIIIb/IV NSCLC患者の全生存期間(OS)。副次的評価項目は、PD-L1の状態にかかわらず同試験の全母集団について評価を行い、OSのほか奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および患者報告に基づくアウトカムが含まれるという。
両社は、同試験が戦略提携による2015年に開始予定の試験のうち、初の承認申請用試験であることをふまえ、avelumabが将来的な治療選択肢となるよう、今後も研究を続けていきたいとしている。
▼外部リンク
・ファイザー株式会社 プレスリリース