自己免疫システムを活性化する抗CTLA-4モノクローナル抗体
英国のアストラゼネカは4月15日、米国食品医薬品局(FDA)により、抗CTLA-4モノクローナル抗体である「tremelimumab」が悪性中皮腫治療薬として希少疾病用医薬品に指定されたことを発表した。
希少疾病用医薬品指定プログラムは、米国で20万人未満が罹患している希少疾病や障害に対して、安全かつ効果的な治療、診断、予防を提供することを目的とする低分子医薬品およびバイオ医薬品に対して、希少指定を付与する制度。
今回適応となった悪性中皮腫は、そのほとんどが肺および腹部の内膜(胸膜、腹膜)に発現する希少かつ悪性度が高いがんで、特に病勢が進行している患者への有効な治療法は非常に限られている。現在、悪性中皮腫治療での5年生存率は、適切な診断や治療を受けた場合でも5%未満であり、この疾患における新しい治療選択肢に対しては、患者からの大きなニーズがある。
単剤療法の検討に加え、複数の併用試験も実施中
tremelimumabは、アストラゼネカおよびそのバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンが有する広範ながん免疫治療のパイプラインの1つに属し、ヒトの自己免疫システムを活性化するよう設計され、開発されている。同剤は完全ヒトモノクローナル抗体で、活性化Tリンパ球の表面に発現するタンパクCTLA-4に結合することで、がん細胞を攻撃するよう免疫システムを活性化するという。
現在、中皮腫の単剤療法としての検討に加えて、非小細胞肺がんおよび頭頸部がんに対し、抗PD-L1抗体である免疫治療治験薬「MEDI4736」との併用療法としても試験を実施中。また、同剤はEGFR変異非小細胞肺がんで「イレッサ(R)」(一般名:ゲフィチニブ)との併用、および固形がんで「MEDI6469」(マウスOX40作動薬)との併用の試験も実施中。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース