「認知症のなりやすさ」と身体情報・生活習慣との因果関係の解明を目的に
大分大学と株式会社東芝は4月16日、「認知症のなりやすさ」と身体情報・生活習慣との因果関係を解明する実証研究を開始する契約を締結したと発表した。この研究は、大分県の「産学官連携ヘルスケアモデル事業」の支援等を受けて、大分県と連携して取り組むもの。2015年度から3年間行われ、対象とする人数は1,000人を計画しているという。
従来、「生活データ」の収集は問診によるものが中心で、被験者本人の主観や記憶に頼るものであったため、科学的な分析に十分耐えうるものではなかった。同実証研究では、さまざまな「生活データ」を、リストバンド型生体センサを用いて自動的に収集することで、より客観的・科学的に生活パターンを捉えることが可能になるという。
次世代型リストバンド型生体センサで、生活・身体データを収集
今回の実証研究では、従来から認知症診断に用いられる脳内アミロイドβ蓄積量と、認知機能検査情報の「認知症関連データ」に加え、東芝のリストバンド型生体センサを用いて日中の活動量、睡眠時間・発話量、摂食状況などの「生活データ」及び、体重、血圧、体温、血糖値などの「身体データ」を継続して収集するという。
こうして得られた「生活データ」・「身体データ」と「認知症関連データ」の関係性を検証することで、「認知症のなりやすさ」と身体情報・生活習慣の因果関係を解明するとともに、認知症の発症予防に向けた取り組みを推進していく予定だ。
大分大学は、同研究のために認知症先端医療推進センターを開設。11C-Pittsburgh compound B(PIB)と18F-fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)によるPET検査を駆使した最先端の認知症医療・研究の実現、科学的根拠のある予防法および根本的治療薬の開発を目指すという。生活習慣における認知症発症のリスク因子を明らかにすることで認知症予防だけでなく、健康寿命の延伸に有効な予防法を研究していくとしている。
一方東芝は、次世代型リストバンド型生体センサを開発、提供し、収集したデータの解析を実施。2020年には、同研究を通じて確立した認知症予防の知見・ノウハウを活かし、地方自治体・ケアセンター・健康機関向けに患者の認知症リスクを抑えるサービスの実用化を目指すとしている。
▼外部リンク
・株式会社東芝 プレスリリース