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ミトコンドリア機能による免疫反応制御機構の解明を発表-京大

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2015年04月17日 PM03:15

活性化B細胞の分化の方向性がミトコンドリア活性に依存

京都大学は4月14日、活性化B細胞の分化の方向性がミトコンドリア活性に依存していることを発見したと発表した。これは、同大学医学部の菅井学客員研究員(福井大学医学部教授)、医学部附属病院の清水章教授らの研究グループが、東北大学医学系研究科の五十嵐和彦教授、京都工芸繊維大学の竹谷茂教授、Dr. Stephen L. Nutt(The Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research, Melbourne, Professor)、福井大学医学部の青木耕史教授らの研究グループとの共同研究により得た成果である。


画像はリリースより

細胞分化は、方向付けシグナルと、細胞内の確率的な現象によって決定している。事実、活性化B細胞の分化方向の決定は細胞自身の確率的な現象で決まっていることが明らかになっているが、実際に細胞分化を決定している確率的変化の実態や方向的なシグナルの実態は明らかにはなっていなかった。

今回研究グループは、この分化の方向性を決める分子機構を明らかにした。活性化B細胞は、ミトコンドリアの活性の違いによって、クラススイッチ組換えを起こしやすい細胞集団と、形質細胞に分化しやすい細胞集団に分けられることを見出したという。

新しい免疫療法や新規免疫療法薬の開発につながる研究に期待

また、ミトコンドリア活性が高い細胞は、活性酸素種(ROS)の発生が増強した結果、ヘム合成が阻害されていることも明らかにした。この細胞では、ヘムによって活性が抑制される転写因子Bach2の機能が維持された結果、クラススイッチ組換え・体細胞突然変異導入が誘導される。一方、ミトコンドリア活性の低い細胞では、ROSが少なくヘム合成が促進されるために、Bach2機能が抑制され形質細胞への分化が促進されるという。

同研究成果は、ミトコンドリアによる細胞分化制御の新しいメカニズムを見出しただけでなく、さまざまな免疫反応において、適正な抗体産生を誘導するために必要な分子機構の解明と、新規免疫療法薬の開発につながることが期待される。

なお、この研究成果は、英科学誌「Nature Communications」に4月10日付で掲載されている。

▼外部リンク
京都大学 研究成果

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