医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 不眠治療が糖尿病の血糖コントロールに有効であることを解明-大阪市大

不眠治療が糖尿病の血糖コントロールに有効であることを解明-大阪市大

読了時間:約 1分9秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年04月16日 PM12:00

睡眠障害と糖尿病の増悪に関連性

大阪市立大学は4月14日、糖尿病の血糖コントロール悪化で睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされること、また睡眠障害が早朝高血圧を起こすことで糖尿病の心血管障害の原因となることが明らかになったと発表した。


画像はプレスリリースより

この研究は、同大学医学研究科代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章教授らのグループによるもの。研究成果は、科学雑誌「PLOS ONE」に同日付けでオンライン掲載されている。

疫学研究では以前から睡眠障害の患者では、糖尿病の有病率が上昇することが示唆されていた。

動脈硬化進展予防や血糖コントロール改善を目的とした治療を

今回、研究グループは、63名の2型糖尿病患者に脳波計を用いて精密な睡眠の質判定を行った。その結果、血糖コントロール指標であるHbA1cの増悪につれて、深睡眠の程度を示すレム睡眠潜時が短縮することが判明したという。また、レム睡眠潜時は徐波睡眠の程度を示すデルタパワーと正相関を示し、血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少することも明らかになった。

さらに、それらの睡眠の質の悪化は、睡眠時無呼吸とは独立して、動脈硬化の要因の1つとなる可能性があり、心血管イベントリスク因子である頸動脈の内膜中膜肥厚度と関連することも示唆された。

今回の研究によって、2型糖尿病患者での睡眠障害に対する積極的な治療は、不眠によるQOL増悪を改善するだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝血圧改善による動脈硬化進展予防や、血糖コントロール改善を目的とする治療ターゲットとして位置づけられることが分かった。睡眠導入薬の進歩や新規薬剤の投入により、不眠治療が臨床の場で安全かつ効率よく行えるようになったことに加えて、不眠治療に対する認識を変えることができる研究成果であると研究グループは述べている。

▼外部リンク
大阪市立大学 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 胃がんの化学療法、個人ごとの効果予測が可能なAI開発に成功-理研ほか
  • 「社会的孤独」による動脈硬化と脂質代謝異常、オキシトシンで抑制の可能性-慶大ほか
  • 胎児期の水銀ばく露と子の神経発達に明らかな関連なし、エコチル調査で-熊本大ほか
  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大