■質確保へ3年後に更新審査
厚生労働省は、臨床研究の倫理性と科学的妥当性を適切に判断している質の高い倫理審査委員会(IRB)として、国立病院機構や京都大学大学院医学研究科等の9機関を認定した。国が審査の質を保証する初めての認定IRBとなり、申請のあった234機関について、専門家で構成する有識者委員会が審査を行った結果、最終的に9機関を認定した。厚労省は、認定したIRBの質をフォローアップするため、3年後に更新審査を実施する予定。
今回、認定を受けたのは国立精神・神経医療研究センター、国立病院機構、国立病院機構名古屋医療センター、国立病院機構大阪医療センター、京都大学大学院医学研究科、大阪大学医学部附属病院、長崎大学病院、慶應義塾大学医学部、順天堂大学医学部附属順天堂医院――の9機関。
認定制度の申請を受け付ける期間が3週間程度と短かったものの、関係者の関心は高く、全国から234機関の申請があった。
厚労省によると、1日から施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が求めている基準を満たすことを認定要件としていたため、「改訂倫理指針を先取りして、対応を行っていた施設に限られた」(医政局研究開発振興課)としている。
そのため、実質的には2014年度は過渡的な認定と言える。今年度も厚労省は認定事業を継続することにしており、改訂倫理指針に対応した多数の施設の申請が予想される今年度からは、申請数、認定数が増える可能性がありそうだ。
今後は、認定したIRBの質の確保が重要になる。厚労省は認定の有効期間を3年としており、その間に質の高い審査が適切に行われているかどうかフォローアップし、3年後に更新審査を実施する予定である。
日本でIRBの設置が1300件以上と乱立し、審査の質にバラツキのあることが問題視されてきたが、今回初めて適切な審査を行うことができる認定IRBとして、9機関の質を国が保証した。今後は認定IRBに対して、他の医療機関からの審査依頼が増えるなど、審査の集約化が進んでいく可能性がある。