この日の会合で厚労省が提示した資料では、長期投薬の増加などにより、飲み忘れや飲み残し、症状の変化によって生じたと思われる多量の残薬が生じていることが示された。
また、東京理科大学薬学部の鹿村恵明教授が日本薬剤師会からの委託事業で行った2013年度全国薬局疑義照会調査の結果(540薬局を対象)も提示。処方箋応需枚数(18万3532枚)のうち、形式的な疑義照会を除いた薬学的疑義照会は4141件で、このうち、「残薬に伴う日数・投与回数の調整」を行ったのは約10%の420件に上った。この数値を処方箋応需枚数(18万3532枚)に当てはめると、残薬の調整は0・23%で実施されていることになり、全国の年間の処方箋枚数に換算すると約29億円に相当すると試算した。
薬局では、処方箋を受け付け、残薬が認められた場合、医師に疑義照会し、処方変更の指示を受けた後に調剤するなどの対応がとられているが、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は、医薬分業の進展に伴い、増加している患者負担に見合ったサービスの向上が求められている点を指摘し、「薬剤師の役割は大きい。これまで以上に機能を果たしてもらいたい」と述べた。
花井圭子委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も、「認知症の患者では、飲み忘れなどが普通に起こり得る。薬剤師の果たす役割は非常に大きい」と期待を寄せた。
こうした意見に対し、安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、残薬解消の第一の目的は、薬剤費の削減ではなく、「不必要な薬を二重に飲んでしまうことを防止することにある」と強調。「患者の飲まなかった(飲めなかった)理由は何なのかを明確にしつつ、かかりつけ医と連携して、その問題を解決し、医療の安全を図ることが第一の目的」との考えを示した。
中川俊男委員(日本医師会副会長)は、10年に日医が行った調査で、長期処方によって病気の悪化を発見することが遅れたという意見が多かった点に触れ、「長期投与に問題があるのだと思う。重要な論点にしてもらいたい」とした。