計11家系の患者で遺伝子TGFB3の変異を同定
国立循環器病研究センターは4月8日、同センター分子生物学部の森崎隆幸部長らの研究チームが、オランダのエラスムス大学、ベルギーのアントワープ大学などの研究チームとの国際共同研究により、心血管系疾患、特に大動脈瘤の発症に関わる新しい原因遺伝子TGFB3変異を同定したと発表した。
画像はプレスリリースより
研究チームは、胸部大動脈瘤患者470例について、多方面からの解析手法(網羅的ゲノム関連解析、エクソーム解析ならびに候補遺伝子配列解析)を用い、病因遺伝子を同定。その結果、日本では3家系、国外で8家系の患者で遺伝子TGFB3の変異を同定したという。
大動脈瘤等、心血管系疾患の早期発見に期待
さらに、同定したTGFB3遺伝子変異によるTGFβ系の細胞内シグナル伝達の変化について検討したところ、TGFB3遺伝子変異を持つ症例は、種々の身体所見とともに、高率に心血管系とくに胸部腹部大動脈瘤・解離を発症し、TGFβ系の細胞内シグナル伝達に関係するとこれまでに知られていた遺伝子(TGFBR1/2、SMAD3、TGFB2)の変異と同様に、この細胞内シグナルの変化(増強)が確認されたという。
同研究で明らかになった遺伝子情報は、大動脈瘤等の心血管系疾患の早期発見とその管理・治療につながる情報として、その活用が期待される。なお、同研究の成果は、米心臓病協会誌「JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF CARDIOLOGY」の4月7日号に掲載されている。
▼外部リンク
・国立循環器病研究センター プレスリリース