遺伝性難聴モデルマウスの聴力回復に成功
順天堂大学は4月3日、同大医学部耳鼻咽喉科学講座の池田勝久教授、飯塚崇助教、神谷和作准教授らの研究チームが、遺伝性難聴の根本的治療を目指したヒトの遺伝性難聴に等しい疾患モデルマウスの作製を作成し、このマウスへの遺伝子治療により、聴力の回復に世界で初めて成功したことを発表した。
画像はプレスリリースより
遺伝性難聴の原因遺伝子は、現在までに60以上が同定されており、最終的には150程度の難聴遺伝子が推察されている。これらの難聴遺伝子の中でGJB2遺伝子変異が最大の原因とされており、30~50%を占めている。
そこで研究チームは、ヒトのGJB2変異による遺伝性難聴に等価の疾患モデルマウスを作製。今回作製したGjb2を欠損したマウスは、出生時より高度難聴を示し、ヒトの先天性難聴と全く同等の所見だったという。
コルチ器の正常な立体構造の形成も確認
さらに、同研究チームは出生直後のマウスの内耳にGjb2遺伝子を導入。導入して10〜12週後に聴力を測定すると、Gjb2を投与した側の耳は遺伝子導入しない耳に比較して有意に聴力の回復がみられた。また聴力が回復した内耳では、コルチ器の正常な立体構造の形成も確認されたという。
これまで遺伝性難聴に対しては、人工内耳や補聴器の適用はあるものの、根本的な治療法や治療薬は存在しない。今回の成功は、ヒトの遺伝性難聴の根本的治療法の開発に貢献することが期待される。
なお、同研究は理化学研究所、がん研究所、帝京大学との共同研究で行われ、研究成果は「Human Molecular Genetics」オンライン版に4月2日付で公開されている。
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・順天堂大学 プレスリリース