二日酔い改善だけでなく、胃がんリスクも減少か
東北大学は3月30日、同大大学院医学系研究科 消化器病態学分野の飯島克則講師、前嶋隆平医師、下瀬川徹教授らグループが、アルコール摂取後の胃液中のアセトアルデヒドの増加が非必須アミノ酸であるL-システイン投与によって抑えられることを明らかにしたと発表した。
画像はプレスリリースより
少量飲酒で赤くなるお酒に弱い性質(ALDH2不活性型)の人は、アジア人に多く、日本国内では30~40%がALDH2不活性型と言われている。同研究グループは、胃内へのアルコール投与後に胃液中のアセトアルデヒド濃度がALDH2不活性型では活性型に比べて5.6倍と増加していることを初めて明らかにした。
ALDH2不活性型の人ではアルコール摂取後、胃内アセトアルデヒド濃度が非常に高くなり、胃粘膜が高濃度のアセトアルデヒドに暴露され、これが胃がん発生のリスクを高めていると考えられるという。
ALDH2活性型、不活性型のどちらにも胃がん発生予防に有用か
さらに、徐放性L-システインの服用により、ALDH2活性型では67%、ALDH2不活性型では60%の胃内アセトアルデヒドの低下が観察され、その効果は2時間持続。アミノ酸であるL-システインはヨーロッパの多くの国で使用されている健康食品でもあり、その徐放性カプセルは、胃内でL-システインが徐々に放出され、アセトアルデヒドと反応し、その毒性を中和させることがわかったという。
ALDH2活性型、不活性型両方の人にとってL-システインによるアセトアルデヒドの低下が観察されたことから、どちらにとってもL-システインは胃の発がん予防に有用となり得ると期待される。なお、この研究結果は、科学雑誌「PLOS ONE」に4月1日付で掲載されている。
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・東北大学 プレスリリース