官民が一体となって国産薬用作物の調査・研究、国内産地化の推進に取り組む、超党派の「薬用作物(薬草)栽培推進議員連盟」が1日に発足した。農林水産省や厚生労働省が取り組んでいる支援事業の予算規模拡大を働きかけ、薬用作物栽培の促進を図る活動なども想定している。議連の会長に就任した尾辻秀久参院議員(自民)は、2009年に行政刷新会議の事業仕分けで医療用漢方製剤を保険から外す決定がなされたことに言及。「いつもちらちら出てくる話。こんなバカげたことはない」とし、「関心を持って支援してもらいたい」と参加議員に呼びかけた。
漢方関連の議連としては、既に自民党の「日本の誇れる漢方を推進する議員連盟」(鴨下一郎会長)が存在する。医療用漢方製剤の薬価を維持するための新たな制度・仕組みの検討を求めるなどの活動を行っているが、新たに発足した議連では、農業振興の一環として、薬用作物の栽培技術の支援に向けた活動を中心に行っていくという。
幹事長の野間健衆院議員(無所属)は、漢方製剤への需要が拡大する中、原料となる生薬の8割を海外、特に中国の輸入に頼っている現状に触れ、中国国内の漢方薬の需要の高まりや、乱獲・乱開発による収穫率の低下、重金属混入といった安全性の問題を指摘。
国内に薬用作物の産地を移そうとする動きが出始め、2年前から、農水省や厚労省が支援事業に取り組んでいることに言及し、「地方では後継者不足などで新しい農業の形を模索しており、一定の需要が見込める薬草の栽培は脚光が当たっている。予算規模がさらに大きくなるよう働きかけ、薬用作物栽培の促進に努めていきたい」と、設立の経緯を説明した。
あいさつした尾辻会長は、自身が会長を務める禁煙議連で、「たばこ栽培の農家に薬草を作ってもらうことが一番よい解決策ではないかという意見も挙がっており、こうしたことが今後の議連の活動に反映されていくのではないか」とし、厚労省や農水省、農家などの関係者と連携しながら、活動を進めていきたい考えを示した。
設立総会には、厚労省と農水省の担当者も出席。漢方薬の原料となる薬用植物の国内栽培化に向け、農家と漢方薬メーカーのマッチングを行う目的で、両省と日本漢方生薬製剤協会が開催しているブロック会議の成果を報告。14道県18件で栽培契約の折衝が成立したことが明らかにされた。