口腔内の細菌がアルコールやグルコースを代謝
岡山大学は3月27日、同大大学院医歯薬学総合研究科(歯)予防歯科学分野の森田学教授、横井彩(医員)の研究グループが、舌表面の汚れ(舌苔)の付着面積が大きい人は、呼気中のアセトアルデヒド濃度が高いことを、横断研究で初めて突き止めたと発表した。なお、研究成果は、「Journal of Applied Oral Science」電子版に3月6日付で公開されている。
画像はプレスリリースより
アセトアルデヒドは、アルコールを代謝する過程で産生され、煙草の煙にも含まれるだけでなく、口腔内の細菌がアルコールや、グルコースを代謝して産生することが報告されている。高濃度で摂取する場合、発がん性が指摘されている物質で、生理的な濃度(低濃度)でも、持続的な暴露は有害と考えられている。
舌清掃を行うと口腔内のアセトアルデヒド濃度が減少
今回研究グループは、同大医療支援歯科治療部と北海道大学山崎裕教授と共同で、舌の上の舌苔の面積と、口腔内のアセトアルデヒド濃度を健常者65人(男性51人、女性14人)で調査。舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口腔内のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにした。
この理由として、舌苔に含まれる細菌の違いがアセトアルデヒド濃度に関与していると考えられるという。これまでは、口腔内のアセトアルデヒドの発生原因として、煙草や酒が考えられていたが、今回の研究では、舌苔からもアセトアルデヒドが発生していることを確認。舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口腔内のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認したという。
研究グループではプレスリリースで、舌苔とがんの発病との関係や、舌苔の中のどの細菌がアセトアルデヒドを産生しているのかなど、更なる研究を重ねることにより、舌清掃でがんを予防することが証明できるのではないかと述べている。
▼外部リンク
・岡山大学 プレスリリース