スイレン科コウホネの成分から抗菌活性を示す物質
岡山大学は3月27日、スイレン科コウホネの成分中から、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に対して強い抗菌活性を示す物質を発見し、その作用機構を解明したと発表した。
この研究は、同大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の黒田照夫准教授ら研究グループによるもの。文部科学省概算要求事業「難治性感染症を標的とした創薬研究教育推進事業」研究の一環として実施された。
これらの成果の一部については、3月26日に行われた日本薬学会第135年会で発表されている。また、本件については、日本国特許出願をすでに行ったという。
既存薬の抗菌活性を増強、更なる耐性菌の出現リスクを減少
研究グループは、スイレン科コウホネの成分である「6, 6’-dihydroxythiobinupharidine」(DTBN)が、多剤耐性菌として知られているMRSAとVREに対して強い抗菌活性を示すことを見出した。さらに、この物質がDNAの複製に必要な酵素であるDNAトポイソメラーゼIVを阻害することで抗菌活性を示すことを突き止めたという。
DTBNは単独で作用させても抗菌活性を示すが、MRSAに対しては、治療薬であるアルベカシンと併用することで、その効果を増強させることを確認。また、VREに対しては、DTBNを作用させると256μg/mL以上であった最小生育阻止濃度が1μg/mLまで低くなり、作用が増強されることを確認した。しかし、耐性となっていない腸球菌には効果がなかったという。
このことから、DTBNは、既存抗菌薬の抗菌活性を著しく増強させ、更なる耐性菌が出現するリスクを下げることが可能と判明した。また。耐性となった腸球菌のみに効果を高めることができるため、治療が困難な耐性菌だけを狙い撃つような治療方法の開発も期待されるという。
なおこの研究成果は、欧州の専門誌「Biochimica et Biophysica Acta -General Subjects」に2月27日付けで公開されている。
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・岡山大学 プレスリリース