■副会頭に大高氏、奥氏ら
日本薬学会は代議員総会を25日、神戸市内で開き、2015~16年度の新会頭に太田茂氏(広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)が就任した。任期2年の副会頭には大高章氏(徳島大学大学院バイオヘルスサイエンス研究部教授)、奥直人氏(静岡県立大学薬学部教授)を選出した。任期1年の副会頭には、来春の第136年会組織委員長を務める伊藤智夫氏(北里大学薬学部教授)が選ばれた。
総会であいさつした新会頭の太田氏は「柴崎正勝前会頭がこの2年間、かなり積極的に薬学会の改革を行ってきた。これから先2年間においてもその方向性がぶれることなく、着実に進めていきたい」と強調。「薬学会の会員数はここしばらく減り続けている。なんとか魅力ある学会を再度構築することによって、会員減少を食い止め、増強に向かえばと思っている。いろいろな方策を考えて実行したい」などと抱負を語った。
総会では14年度決算が承認されたほか、15年度の事業計画、予算が報告された。主な事業として▽学術3誌の発行や学術研究集会の開催など学術研究・教育活動の推進▽会誌やウェブサイトなどでの学会情報の配信▽他機関との交流協力やグローバル化の推進▽学会基盤の整備・確立――などに取り組む。15年度の経常収益は約11億0116万円、経常費用は約9億5415万円。
15年度は、次世代を担う会員に対する支援として「長井記念薬学研究奨励支援事業」を引き続き実施する。これは薬学系の4年制博士課程(薬学)、3年間の博士後期課程(薬科学)の大学院生を経済的に支援するもの。最長で3年間、年間60万円を貸与し、博士号を取得すれば支援金の返却を免除する。昨年11月に36人の内定者を決定し、今春から支援を開始する。15年度も同様に募集を行い、三十数人の大学院生に支援を行う計画だ。
また、学会の顔として、学術3誌をさらに魅力のあるものとするため、具体的な目標を掲げて活性化を図る。
さらに、今春の年会から理事会企画として国際シンポジウムを実施することを皮切りに、今後の年会でも英語のみで行うシンポジウムを増やすなど、学会の国際化を進める。企業に勤務する30歳代の会員数が減少しているため、国際シンポジウムの開催など企業会員に対する同会の有用性を具体的にアピールし、会員増強に力を入れる。
総会ではこのほか、元会頭の西島正弘氏を名誉会員として承認した。総会後には薬学会賞、学術貢献賞、学術振興賞、奨励賞など各賞の授与式が行われた。