■処方枚数に一定上限設定も
政府の規制改革会議に設置した「健康・医療ワーキンググループ」は19日、市販品類似薬の保険給付範囲の見直しに関する議論を行った。健康保険組合連合会は、主成分にサリチル酸メチル、メントールなどが含まれる第一世代の外用消炎鎮痛剤(湿布薬)については保険給付から外すと共に、湿布薬の処方に一定の上限を設けることを提言。医療用医薬品のスイッチOTC化の推進も求めた。同会議は、6月に予定する規制緩和策の答申に湿布薬の保険外しなどを盛り込み、厚生労働省に中央社会保険医療協議会などでの検討を促していきたい考えである。
市販品類似薬をめぐっては、過去2回の診療報酬改定で保険外しが実施され、2012年度は栄養補給目的のビタミン剤、14年度にはうがい薬の単体処方が保険適用外となった。この日のヒアリングでは、健保連から第一世代の外用消炎鎮痛剤を保険適用から除外するよう提言があった。
第一世代は、サリチル酸メチルなどを主成分とした刺激型の消炎鎮痛剤で、炎症初期の皮膚の温熱や冷却を目的に使われるが、「欧米、日本のガイドラインでは腰痛などに対して第一選択薬と見なされていない」と指摘。
市販品類似薬を自己負担で購入した場合、6カ月で3800円以内の増加、1カ月当たりでは約630円の負担増にとどまるとの試算結果も示し、患者への影響は小さいとした。
第一世代の医療用外用消炎鎮痛剤の市場規模は20億円程度と見られ、市場に占めるシェアは小さいが、保険外しにより、第一世代の外用消炎鎮痛剤を主力製品とする外用剤メーカーには大きな打撃となる。
また、外用消炎鎮痛剤の過剰処方を防ぐため、処方枚数などに一定上限を設けることを検討すべきとの考えも示した。患者一人当たりの薬剤費が地域や医療機関により差があると指摘。医療機関が通常より多めの処方をする要因が強いとし、処方の標準化を求めた。
スイッチOTC化も進めるべきとし、日本薬学会が選定した医療用医薬品の候補成分4分類6成分をスイッチOTC化すると、約1500億円の医療費削減効果が見込めるとの推計結果を示した。
同会議は、来月にも次回会合を開いて、外用消炎鎮痛剤の保険外しとスイッチOTC化に関して、厚労省などと意見交換を行い、さらに議論を深める。最終的には規制緩和策をまとめた答申と工程表の実施計画に盛り込み、厚労省に対して中医協、薬事・食品衛生審議会での検討を促したい考え。