2つの新規遺伝子が腎臓がんの発生や増殖に関わる
横浜市立大学は3月17日、同大大学院医学研究科泌尿器科学の蓮見壽史助教、矢尾正祐教授らの研究グループが、熊本大学、東京大学、米国立衛生研究所(NIH)との共同研究により、2つの新規遺伝子「Folliculin-interacting protein-1(FNIP1)」と「-2(FNIP2)」が、腎臓がんの原因遺伝子であるFolliculin(FLCN)と協調して、腎臓がんの発生や増殖を抑えていることを発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
研究グループは2006年と2008年に、FLCNに結合する2つの遺伝子FNIP1とFNIP2を発見している。しかし、FNIP1やFNIP2の腎臓での役割は不明で、2つの遺伝子がFLCNのがん抑制機能に関わっているかどうかは分かっていなかった。今回の研究成果は、米国科学アカデミー紀要「PNAS」に米国時間3月16日付で掲載された。
FLCN、FNIP1、FNIP2という遺伝子群の協調が鍵
研究グループは、これまでにFLCN遺伝子が取り除かれたマウスを用い、さまざまな臓器におけるFLCNの役割を明らかにしている。今回は、FNIP1遺伝子とFNIP2遺伝子を取り除いたマウスをそれぞれ作製し、観察した。その結果、腎臓がんの異常増殖を抑えるためには、FLCN、FNIP1、FNIP2という遺伝子群の協調が鍵となることを解明。これらの遺伝子は互いが結合して複合体を形成することが分かっているが、複合体を形成ができなくなったときに、腎臓細胞が異常増殖を始め、最終的にがん化することが考えられるという。
今後はさらなる基礎研究によって、この遺伝子群による複合体形成の詳しいメカニズムの解明を行う一方で、将来的には複合体形成を促進するような、腎臓がんに対して有効な薬剤の開発を目指していく予定だとしている。
▼外部リンク
・横浜市立大学 先端医科学研究センター プレスリリース