血液凝固第VIII因子欠乏患者の出血傾向の抑制を適応として
バイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社は3月9日、血友病A治療薬である「イロクテイト(R)」( 一般名:エフラロクトコグ アルファ(遺伝子組換え))の日本での販売を開始したと発表した。
同剤は、長時間作用の遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤。ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のFc領域とBドメイン除去型ヒト遺伝子組換え血液凝固第VIII因子との融合技術を利用して開発され、血漿中の消失半減期を延長させた薬剤で、国内では血液凝固第VIII因子欠乏患者の出血傾向の抑制を適応としている。
同剤はこれまでに、2014年6月に米国、オーストラリア、同年8月にカナダで承認されている。同年7月からは米国で発売されており、現在EUを含む複数の国の規制当局によって承認審査中だ。日本における同剤の発売は、遺伝子組換え長時間作用の血友病B治療薬であるオルプロリクス(R)に続くものとなった。
注射回数を減らし、患者の負担軽減へ
2013年に国内で行われた調査では、4,761人の血友病A患者が報告されている。血友病A患者は出血を繰り返し、それに伴う痛み、不可逆的な関節障害、また致死的な出血を引き起こすことがあり、第VIII因子の定期的な投与は、出血の抑制に必要な凝固因子を一時的に補充し、また、新たな出血の予防となるとされる。
近年の血友病医療は、定期補充療法などの普及によって大きく変化しており、出血ゼロを目指すようになりつつある一方で、頻回の注射が患者の大きな負担となっている点が課題とされてきた。バイオジェン・アイデック・ジャパンは今回のイロクテイトの発売により、注射回数を減らした定期的投与の普及率向上に期待を寄せている。