西アフリカのギニアで実用性評価を開始
長崎大学と株式会社東芝は3月11日、長崎大学熱帯医学研究所が開発したエボラ出血熱検査試薬(プライマー)の実用化に向け、実検体を用いた実用性評価を開始することを発表した。評価開始は、3月17日からで、西アフリカのギニア共和国にて行う予定だ。
この実用性評価は、ギニアの首都コナクリにあるドンカ国立病院の協力を得て、実際のエボラウイルス感染者の検体を用いる。この評価には、長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授と黒崎陽平助教があたり、既存の検査法と比較した有効性の確認を行うという。なお、この実用性評価研究は、平成26年厚生労働科学研究委託事業「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」の分担研究として実施される。
エボラウイルスの検査判定時間を20分程度に短縮
東芝は2005~2008年に、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業として、警察庁科学警察研究所、帯広畜産大学と共同で「全自動モバイル型生物剤センシングシステムの開発」を行い、2009年に「電流検出方式」(電気化学的に活性な核酸挿入剤を用いた東芝オリジナルのDNA検出技術)のDNAチップを活用したモバイル型全自動生物剤検知システムを製品化、実践配備した実績がある。
その成果を基に、長崎大学と東芝は、2014年夏からエボラ出血熱検査試薬に関する研究を行っている。現在、現地で使用されている多くの検査装置は、血液や尿などの検体中に含まれるエボラウイルスの検査判定に1時間以上かかる。しかし、今回長崎大学熱帯医学研究所が開発したエボラウイルス株の検査試薬では、検査時間を約20分程度と大幅に短縮できることが確認できたという。
東芝は今回の実用性評価を踏まえ、この試薬と検査装置で構成された迅速検査システムを将来的には空港や港湾施設などへ提供することを目指し、国内の防疫力強化に貢献したいとしている。
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・株式会社東芝 プレスリリース