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骨粗鬆症薬の吸入でCOPDモデルマウスの症状が改善-群大と自治医大

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2015年03月13日 PM05:00

ビスホスホネートを吸入させることで肺気腫が改善

群馬大学は3月10日、同大大学院医学系研究科の上野学医師、前野敏孝講師、倉林正彦教授、自治医科大学分子病態治療研究センターの西村智教授らの研究グループが、(COPD)に対する治療として、骨粗鬆症薬であるビスホスホネートの吸入が有効であることを見出したと発表した。研究成果は、「Nature Communications」に3月11日付で公表されている。


画像はプレスリリースより

近年、COPDの患者数は増加してきているが、 症状を緩和する治療のみが可能であり、根本的な治療法はまだ見つかっていない。COPD発症の鍵となるメカニズムを標的とする新たな治療方法の開発が焦眉の課題となっている。

今回研究の対象となったビスホスホネートは、P-C-P骨格を持ちヒドロキシアパタイトに対する親和性が高いことから、経口あるいは静脈により循環血液中に入った薬剤のほとんどが骨組織に結合。そして、骨組織内では代謝の活発な部位で破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞のアポトーシスを誘導し、骨吸収を強力に抑制することから、骨粗鬆症の治療に広く用いられている。肺胞マクロファージは、破骨細胞と同じく骨髄由来の単球系細胞であり、ビスホスホネートを取り込む性質を持つと考えられるが、経口や静注では肺組織への集積はほとんど認められていなかった。

肺疾患の新規治療法の開発に繋がる可能性

そこで研究グループは、COPDモデルであるエラスターゼ肺気腫モデルマウスや喫煙肺気腫モデルマウスを用いて、ビスホスホネート水溶液を気管内に吸入。遷延する炎症や気腫病変を改善する効果があることを明らかにしたという。

また、吸入されたビスホスホネートは、肺胞に常在するマクロファージおよび炎症性マクロファージに選択的に取り込まれたことを肺組織のフローサイトメトリー解析によって解明。さらに、培養肺胞マクロファージを用いた検討から、ビスホスホネートは肺胞マクロファージのメバロン酸経路を抑制し、NFkBシグナルを抑制、炎症性サイトカインの産生を抑制するとともにアポトーシスを誘導することが判明したという。

ビスホスホネートの吸入は、エラスターゼ誘導COPDだけでなく、喫煙によるCOPDモデルにおいても有効であることや低用量でも効果があることから、COPDの予防や治療の新しい手段になる可能性があると、研究グループは述べている。

▼外部リンク
群馬大学 プレスリリース

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