侵襲性アスペルギルス症・侵襲性ムーコル症患者を適応に
アステラス製薬株式会社は3月9日、スイスのバシリア社と共同開発中のアゾール系抗真菌剤「CRESEMBA(R)」(一般名:isavuconazonium sulfate)に関して、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したことを発表した。
適応症は、18歳以上の患者を対象とした侵襲性アスペルギルス症および侵襲性ムーコル症の治療。推奨される開始用量は、1回372mg(有効成分であるisavuconazoleの相当量は200mg)を8時間毎に計6回(48時間)の経口または静脈内投与。なお、初期投与終了から12~24時間が経過した症状安定後は、1日1回372mgの経口または静脈内投与が推奨されている。
同剤について、アステラス製薬は2014年7月8日にFDAへ販売許可を申請。また欧州ではバシリア社が成人の侵襲性アスペルギルス症および侵襲性ムーコル症の適応症として、2014年7月16日に欧州医薬品庁(EMA)に販売許可申請を提出している。
ボリコナゾールに対して総死亡率で非劣性を確認
CRESEMBAの安全性及び有効性は、2つの第3相臨床試験(SECURE試験、VITAL試験)の結果に基づいている。SECURE試験は、成人の侵襲性アスペルギルス症患者を対象とする二重盲検実薬対照試験。一方、VITAL試験は、腎障害を有する侵襲性アスペルギルス症患者および稀な真菌による侵襲性の真菌感染症患者を対象とするオープン試験である。
被験者数516名のSECURE試験では、主要評価項目である投与42日目までの総死亡率において、ボリコナゾールに対するCRESEMBAの非劣性が確認された。投与42日目までの総死亡率は、CRESEMBA群の18.6%に対し、ボリコナゾール群では20.2%だったという。VITAL試験では、37名の侵襲性ムーコル症患者にCRESEMBAを投与。CRESEMBA投与群の総死亡率は38%だったという。なお、侵襲性ムーコル症での有効性は、対照群との比較試験で評価されていない。また、SECURE試験におけるCRESEMBAの総合的な安全性プロファイルとして、死亡率と非致死性の有害事象の発現率は、対照群であるボリコナゾールと同等だったとしている。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース