核酸医薬の実用化を強力に牽引するため、国内の産官学関係者が結集した「日本核酸医薬学会」が4月に発足する。2013年に国産品の医師主導治験が開始され、未整備だったガイドライン作りも含め、実用化に向けた機運はかつてなく高まっている。こうした状況を捉え、基礎研究者が中心となり、製薬企業とレギュラトリーサイエンス(RS)も取り込み、新たな学会を立ち上げることにした。佐々木茂貴会長(九州大学薬学研究院生物有機合成化学分野教授)は、「自分たちで実用化を引っ張っていく学会にしたい」と話している。
■高まる期待と危機感背景に
核酸医薬は、これまで新たな創薬ターゲットとして実用化が期待されながら、大きな成果が出ていなかった。1991年には、日本核酸医薬学会の前身「アンチセンスDNA/RNA研究会」が発足し、98年に世界初の核酸医薬として、エイズ患者のサイトメガロウイルス性網膜炎症治療薬「ホミビルセン」が登場。2004年に加齢黄斑変性治療薬「ペガプタニブ」、13年には全身投与できる核酸医薬として、家族性高コレステロール血症治療薬「ミポメルセン」が承認されているが、これら3品目にとどまる。