厚生労働省は4日、2015年度のアルブミン等の血液製剤に用いる原料血漿の標準価格を5%引き下げる案を、薬事・食品衛生審議会血液事業部会に示し、了承された。需給計画に基づく価格設定の仕組みのもと、3年連続して原料血漿価格は引き下げられたが、昨年度に比べ約200円の増額となった。
15年度の原料血漿価格は、凝固因子製剤用が昨年度の標準価格より200円増の1リットル(L)当たり1万0950円となる。その他の分画製剤用が190円増の1万0020円となる。
従来の原価計算方式に基づく価格では、凝固因子製剤用が1L当たり1万1520円、その他の分画製剤用が1万0540円と算出されたが、輸入製剤との価格競争を目的に原価計算の5%減とし、3年連続で原料血漿価格を引き下げることにした。
ただ、この日の部会では、原料血漿価格が上昇傾向にある点について、委員から血液製剤の製造等を委託する日本赤十字社に対し、コスト削減を求める意見も挙がった。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、現行の仕組みについて「1採血当たりの経費負担額を計上して、価格を決定する原価計算方式では、価格を引き下げようとする動機づけが働かないのではないか」と問題点を指摘した。
これに対し、日赤は16年度以降、採血区分に応じて原料血漿の採集方法を見直すほか、材料費の一括購入などでコスト削減などを図り、中長期的には価格の上昇につながらないような取り組みを行っていく考えを示した。
■血液確保量は199万L‐献血推進計画も了承
また、部会では15年度の献血推進計画も了承した。血液確保量は全血採血140万L、成分採血59万Lの計199万Lとし、基本方針に20~30代の会社員の献血促進について企業に協力を求めることを決めた。同方針は今月末に告示する予定にしている。
厚労省は、15年度の輸血用血液製剤の製造量について、赤血球製剤52万L、血漿製剤27万L、血小板製剤17万Lが見込まれるとして、
確保されるべき原料血漿量の目標を踏まえ、15年度の血液確保量を全血採血140万L、成分採血59万Lとした。