報告書は、国民生活の最大の不安要因となっている医療と介護の問題について、社会保障の持続性を担保する観点から、市民の目線に立って政策をまとめたもの。その中で、超高齢社会における医療サービスのあり方については、高齢者の自立、自己改革が基本とし、重症化予防や居宅など生活の場での医療サービス提供が重要になってくると指摘した。
住民、患者一人ひとりの選択が重視される医療・介護を目指し、「お任せ医療」「お任せ介護」から脱皮を図り、市民目線の医療・介護提供体制に変革していく必要があるとし、地域単位での計画的な医療機能の集約・包括化、生活圏域における医療・介護機能の連携、医療・保険・介護・福祉の包括化を進めていくことが求められていると提言した。
その中で、薬局の役割に言及し、「国民皆保険の定着に加え、この20年余の間に医薬分業が急速に進展してきたことなどから、地域における薬局の姿も大きく変化してきた」との認識を示しつつ、国民医療費の増加に占める調剤医療費の割合が最も高いことを指摘した。
その上で、調剤医療費がこの30年間で大きく増加してきたのに対し、「医薬分業が患者、利用者の視点で見てどれだけ効用を発揮しているのか、医療の質向上に貢献したのか、医薬分業のあり方について改めて検討すべき時期が来ている」と医薬分業のあり方について再検討を求めた。
一方で、「薬局がかつて健康や医療に関する身近な相談先として大きな役割を果たしてきた」と意義を強調。セルフメディケーションが改めて重視される中、地域における医療資源の一環として、薬局のあり方と機能を再評価する必要があるとの考えを示した。
そのために、かかりつけ薬局制の定着が期待されるとし、薬学教育6年制のもとで新たな薬剤師が多く誕生してきている中、新たな取り組みに期待感を示した。