VEGFを特異的に標的とし、阻害する抗体医薬品
スイスのロシュ社は2月27日、欧州医薬品委員会(CHMP)が、治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんの成人に対するAvastinと標準的な化学療法(paclitaxelとcisplatinの併用、または白金製剤の投与を受けることができない場合はpaclitaxelとtopotecanの併用)の併用療法について、承認勧告を行ったことを発表した。
Avastinは、VEGFを特異的に標的とし阻害する抗体医薬品。2004年に米国で進行性結腸・直腸がんに対して最初に承認され、進行がんの患者の治療に広く臨床で用いられる初めての血管新生阻害剤となった。
欧州では進行期の乳がん、大腸がん、非小細胞肺がん、腎がんおよび卵巣がん、米国では大腸がん、非小細胞肺がん、腎がん、子宮頸がん、および白金製剤抵抗性の再発卵巣がんの治療薬として承認。加えて、米国および60か国以上で、初期治療の後に病勢が進行した悪性神経膠腫の治療薬として承認されている。日本におけるAvastinの効能・効果は、進行期の大腸がん、非小細胞肺がん、乳がん、卵巣がん、および新たに診断された膠芽腫を含む悪性神経膠腫である。
化学療法単独に比べて生存期間を約4か月延長
欧州での申請は、統計学的に有意な生存期間の延長を認めた主要な臨床試験である「GOG-0240試験」の成績に基づいている。同試験では、Avastinと化学療法の併用を受けた女性において統計学的に有意に死亡リスクを26%減少することが認められ、化学療法単独に比べ生存期間の中央値では約4か月の延長が確認されたという(全生存期間中央値:16.8か月対12.9か月、ハザード比:0.74、p=0.0132)。
なお同剤は、米国では2014年8月、スイスでは同年12月に、GOG-0240試験の成績に基づき、Avastinはpaclitaxelとcisplatinの併用、またはpaclitaxelとtopotecanの併用で治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんの女性に対する治療として承認されている。
現在、欧州において、治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんの女性に対する治療選択肢は、化学療法に限られている。ロシュ社では、Avastinに対する今回のCHMPの承認勧告が、新たな治療選択肢の提供へ近づけるものと述べている。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース