核酸系逆転写酵素阻害剤TAFを含む新規抗HIV剤
日本たばこ産業株式会社(JT)と鳥居薬品株式会社は3月2日、米国のギリアド・サイエンシズ社が創製し、JTが日本国内での独占的開発・商業化権を保有する核酸系逆転写酵素阻害剤「tenofovir alafenamide」(TAF)を含む新規抗HIV薬2品について、JTが製造販売承認を取得したのち、鳥居薬品が日本国内において独占的に販売する契約を締結したと発表した。
TAFはHIVの逆転写酵素阻害作用を示すテノホビルの新規プロドラッグ。テノホビルのプロドラッグとしては、これまでにも「ビリアード錠(R)」、「ツルバタ配合錠(R)」、「スタリビルド(R)配合錠」の有効性分として含まれる「テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩」(TDF)があったが、TAFはTDFの10分の1以下の投与量で高い抗ウイルス効果を示すという。また、TAFはTDFの安全性上の懸念である腎臓や骨への影響が軽減されることが期待される。
TDFの安全性上の懸念である腎臓、骨への影響軽減に期待
今回締結した販売契約の対象となるTAFを含む新規抗HIV剤の2品のうち、「エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/TAF配合錠」(「E/C/F/TAF」)については、現在JTが国内における製造販売承認申請を準備中。「E/C/F/TAF」は、鳥居薬品が2013年より販売している抗HIV剤「スタリビルド(R)配合錠」の4つの有効性分のうち、TDF300gをTAF10gに置き換えた配合錠で、1日1回1錠の服薬で治療を行うことができる。
ギリアド社が2月26日付けで発表した第3相臨床試験の結果によると、「E/C/F/TAF」は、対照薬であるstribild(R)と同等の高い有効性と忍容性が確認されている。また、腎臓と骨に関する検査値については、stribildと比較して有意に優れていることが確認された。ギリアド社は同剤について、米国食品医薬品局(FDA)および、欧州医薬品庁(EMA)に新薬承認申請を行っている。
また、ツルバタ配合錠の2つの有効性分のうちTDFをTAFに置き換えた「エムトリシタビン/TAF配合錠」(以下「F/TAF」)については、現在ギリアド社が第3相臨床試験を実施しており、2015年第2四半期に米国および欧州での申請を予定。日本においては、ギリアド社が海外で承認を取得したのち、JTが製造販売承認申請を実施する予定としている。
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・鳥居薬品株式会社 プレスリリース