■RAD‐ARが実態調査
インターネットで一般用医薬品を購入するに当たって、約70%の利用者が「価格」を選ぶポイントとして考えていることが、くすりの適正使用協議会(RAD‐AR)が行った実態調査で明らかになった。利用者は、価格を重視する一方、副作用や飲み合わせに関心は低く、正しい知識を持たないまま利用している人が多数に上ることも分かった。
調査は、昨年12月19~22日にインターネット上で実施したもの。昨年6月以降、実際に購入した経験のある20~60代の男女500人を対象に調査を行った。
その結果、ネット上で購入した回数については、約60%の利用者が「1~2回」、購入頻度については「2~3カ月に1回程度」が35・4%で最も高かった。特に20~40代の男性がリピートして購入している傾向が見られた。また、約65%の利用者が、今後もネット販売を積極的に利用したいと回答し、ネット販売への関心の高さが示された。
その中で、購入にあたり重視するポイントについて、「価格」が65・7%と最も高かった。一方、本来、利用者が重視すべき「副作用」が16・2%、「他の医薬品との飲み合わせ」も9・2%と考慮されない傾向にあり、適正使用の面で不十分な点が見られた。
また、販売サイトの選択ポイントについては、約70%の利用者が、販売サイトが属しているオンラインモールの大きさを基準に選択。「店舗(薬局)の詳細」は26・4%、「検索したら上位にあった」は14・6%、「薬剤師の名前が確認できる点」は13・0%と低く、選択の際に考慮されていない傾向にあった。
よく購入される商品については、「ビタミン剤・カルシウム剤」が34・2%で最も高く、「風邪薬」が29・8%、「鎮痛剤・解熱剤」が29・6%と続いた。また、ネット販売では定期的に使用する医薬品を購入する傾向にあり、実店舗との使い分けも見られた。
ネット販売で最も便利な点として挙げたのは、「営業時間に関係なく買うことができる」が76・0%と4分の3を占め、次いで「安く購入できる」が54・4%と、価格を重視していることがうかがえた。ネット販売で不安や困ったことについては、「特にない」が61・6%との結果だった。
調査を監修した帝京平成大学薬学部の井手口直子教授は「購入サイトや医薬品の選択基準などで不安が多い結果であり、適正使用に向けて、実店舗も含めて相談しやすい環境作りが大切」とコメントした。