厚生労働省は2月27日、ノバルティスファーマが抗癌剤など26品目で報告義務対象の副作用3264例を把握していたにもかかわらず、期限内に報告していなかったとして、医薬品医療機器等法に基づき業務停止命令を出した。停止期間は、5日から19日までの15日間。ノバルティスは全ての医療用医薬品111品目を出荷できなくなるが、他の製品で代替できない希少疾病薬など5品目は対象から外す。副作用報告義務違反による業務停止命令は初めて。
行政処分の対象となったのは、昨年12月までにノ社の調査で判明した3264例の副作用報告漏れ。最も多かったのが抗癌剤「グリベック」で1633例、次いで抗癌剤「タシグナ」で588例、経口鉄キレート剤「エクジェイド」で391例、抗癌剤「アフィニトール」で257例などで、これら副作用を把握していながら期限内に報告していなかった。
そのうち、死亡例は687例あったが、原疾患によると見られるものがほとんどで、添付文書の改訂は必要ないと判断された。
厚労省は、これら副作用の報告遅れが26品目と多数に上ったことに加え、最長14年8カ月にわたって報告していなかったことを重く見て、医薬品医療機器等法に基づく行政処分が必要と判断。ノ社に15日の業務停止命令を出した。
今回の業務停止処分により、ノ社は製造販売する全ての医療用医薬品111品目の出荷を停止する。ただ、他に代替品目のない希少難病のクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)治療薬「イラリス」、免疫抑制剤「シムレクト」など5品目については、患者に重大な影響を与える可能性があるため対象から外す。また、市販後安全管理業務、国が要請した抗てんかん薬などの開発業務も除外する。
業務停止命令を受け、ノ社は「行政処分を真摯に受け止め、患者、医療関係者をはじめ、全ての関係者に対して心配と迷惑をかけ、心よりお詫び申し上げる」とのコメントを発表した。