フランス国立保健衛生研究機構が中間解析結果を報告
富士フイルム株式会社は2月24日、ギニアでのエボラ出血熱に対する臨床試験に提供している同社の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン(R)錠200mg」(一般名:ファビピラビル)の有効性が示唆される臨床試験の中間解析結果が、フランス国立保健衛生研究機構(Inserm)より報告されたと発表した。この試験結果の詳細は、米国・シアトルで開催されている「Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections(CROI)会議」で、現地時間2月25日に発表された。
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アビガン錠は、富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が開発した抗インフルエンザウイルス薬。日本では、2014年3月に、抗インフルエンザウイルス薬として薬事承認を取得している。同剤は、エボラウイルスに対して抗ウイルス効果を有するとのマウス実験の結果が公表されており、既に複数のエボラ出血熱患者に緊急対応として投与実績を積んでいた。
基礎療法での治療結果と比べて死亡率が半減
Insermは2014年12月17日からギニア国内にある4か所のエボラ治療センターで、同剤のエボラウイルス感染患者に対する有効性を調べる臨床試験を実施。今回、公表されたのは同臨床試験における最初の80例の中間解析結果だ。
治療開始時のエボラウイルス量が中程度から高い患者群において、試験開始前3か月間の同じレベルの基礎療法での治療結果と比べて死亡率が半減(30%→15%)し、有望な結果となった。しかし、治療開始時のエボラウイルスが非常に高い患者群では、来所時81%に高度の腎機能障害が認められ、同剤投与による死亡率減少のシグナルを見出すことはできなかった。なお、今回の臨床試験ではインフルエンザ治療に比べて高用量で10日間投薬したが、有害事象は観察されなかったという。
同社では、同剤がエボラ出血熱に対する有効性が示唆されたことをふまえて、引き続き、エボラ出血熱の感染終息に貢献するとともに、治療法確立に向けて、フランス政府やギニア政府、日本の関連当局に全面的に協力していく考え。また、日本政府と協議しながら、感染者のいる各国からの要請に応えていきたいとしている。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース