ロボット技術による介護者の負担軽減を目標に
理化学研究所は2月23日、移乗介助や起立補助など、人との柔らかな接触と大きな力が必要とされる動きをロボットで同時に実現するための研究用プラットフォームとして「ROBEAR(ロベア)」を開発したと発表した。これは、同研究所の理研-住友理工人間共存ロボット連携センター(RSC)ロボット感覚情報研究チームの向井利春チームリーダーらの研究グループによる研究成果である。
画像はプレスリリースより
少子高齢化社会による介護者不足が社会問題化している昨今、介護の現場ではベッドから車椅子への移乗などが、介護者にとって大きな負担となっており、ロボット技術による負荷の軽減が求められている。
RSCでは、これまでにも人間のような腕を用いて移乗介助を行なうロボットを開発していた。2009年に開発されたRIBAは、腕を用いて移乗介助を行えるロボットであり、2011年には、重要な要素技術である触覚センサを改良し、ゴム製の触覚センサを用いて、床からの抱き上げも可能なRIBA-IIを発表。今回開発したROBEARは、それらの後継機である。
柔らかな動作が可能に、横抱きなど複数の抱き方も
ROBEARは従来の技術を継承しながら、小型化と高精度・高出力を実現するアクチュエータユニットと、人との接触状態を検出するための3種類の力覚系センサ、さらに高出力のインピーダンス制御などを採用した。これらによって、より大きな力を出すと同時に、接触状態に応じた微妙な動作調節や、ロボットの腕で人を挟み込んで保持するような柔らかな動作が可能となった。
また、横抱きに加え、立っている人を両腕で支えたり、立った姿勢の人を抱きかかえたり、あるいは起立を補助するなどの複数の抱き方ができるようになったという。さらにアクチュエータユニットを中心とした設計の見直しによって、重量を約140kg(RIBA-IIは約230kg)と大幅に軽量化し、 部品点数も約250点(RIBA-IIは約750点)に減らすことができた。
理研では、今後も介護やリハビリへの応用を目指し、引き続き当ロボットの研究を行っていきたいと述べている。
▼外部リンク
・理化学研究所 プレスリリース