新コアカリは、6年制学部・学科の学士課程教育に特化した内容としたほか、これまで薬学教育と実務実習の2本立てだったコアカリを一本化した。
また、医学教育のコアカリを参考に、今回から新たに▽薬剤師としての心構え▽患者・生活者本位の視点▽コミュニケーション能力▽チーム医療への参画――など10項目からなる「薬剤師として求められる基本的な資質」を明示したことも大きな特徴で、それを身につけるためのカリキュラムの項目立てを行う形式になっている。
会合では、厚労省が検討すべき事項として、▽試験科目の変更の必要性▽出題基準の見直し▽試験出題形式および回答形式▽試験問題数▽合格基準▽既出問題の取り扱い▽改定された基本方針の適用時期――を提示した。
委員からは、出題形式において課題となっている禁忌肢の導入について意見が集中した。
禁忌肢は、患者の死につながったり、重篤な後遺症を残す可能性が高いなど、薬剤師として行ってはならないような内容を含んだ問題で、受験者がある一定数選んだ場合、他の問題がいくら解けていても不合格にするというもの。
前回の検討部会でも導入が検討されたが、薬剤師として禁忌とする対象の選定を慎重に行う必要があるなどの理由で、「引き続き慎重に検討する」とされた。
山本信夫委員(日本薬剤師会会長)は、本来、薬剤師になる資質のない人が薬剤師として現場に出た場合の危険性を指摘し、「禁忌肢は入れるべき」と主張。政田幹夫委員(日本病院薬剤師会理事)も同調し、既に禁忌肢を導入している医師国試の状況を踏まえ、導入に向けた検討を行うべきとの考えを示した。
他の委員からは、禁忌肢の導入は一定数選んだら不合格になるため、“足きり”の基準と併せて検討するよう求めたが、導入に反対する意見は出なかった。
この日の会合では、政田委員が第99回国試で、「6年制新卒」の合格率が70・49%と例年に比べやや低かった要因について、「厚労省としてどう分析しているのか」と質した。
厚生労働省医薬食品局総務課医薬情報室の田宮憲一室長は、6年制国試では、臨床現場で実践的な能力を持っているかどうかを確認するため、暗記だけで答えるのではなく、知識を組み合わせて回答を導き出したり、例示した具体的な症例をもとに適切な選択肢を選ばせる問題を意識して出題するようになるなど、「考えさせる問題を志向しているところがあり、それに対応できなかった部分があるのでは」と説明した。
これを受け、神田裕二医薬食品局長は国家試験について、薬剤師の供給を調節する「バルブの側面があると思っている」との考えを示した。
その上で、「試験問題が大きく変わることによって供給が大きくぶれるのは個人的には好ましくないと思っている」と述べ、改訂コアカリに対応した試験が適用されるのは20年度からとなるが、順次、改訂コアカリの内容を試験に反映させていくべきとした。