厚生科学審議会の難病対策委員会は17日、難病患者への医療やケアなどを総合的に推進するための基本方針策定に向けた議論を開始した。難病患者への医療提供体制の確保、希少疾病用医薬品の研究開発、療養生活の環境整備などについて方向性を定め、夏をメドに取りまとめを行う予定だ。
昨年5月に成立した難病法には、治療方法の研究開発の促進、指定難病に対する医療費助成、療養生活の拡充などの施策が盛り込まれると共に、厚科審で難病患者の医療やケア、社会参画などを総合的に支援するための基本方針を策定するよう求めていた。
この日の会合では、基本方針の中で扱うべき内容を議論。難病医療拠点病院等の医療提供体制の整備や専門医などの人材養成、病態解明や新規治療薬の開発につながる研究支援、地域で患者のケアや就労支援を進めるための環境整備など、難病法に基づく事項を中心に検討していくことが了承された。
一方、参考人として出席した患者団体は、早期診断や効果的な治療開発に向けて、軽症者も含めて指定難病の患者登録を行い、国が難病患者のデータを一元的に管理するよう要望した。
これを受けて同委員会は、厚労省が2016年度をメドに運営を開始する「難病患者データベース」で、アカデミアや医療関係者がデータを利活用できるような仕組みを基本方針の中に盛り込んでいく考えを示した。
基本方針は、関係団体とのヒアリングを重ね、今夏までに取りまとめ、疾病対策部会に報告する予定。