文部科学省は、大学の特色や教育理念などに基づき、どのような学生を求めるかなどをまとめた「入学者受け入れ方針」の策定を各大学に義務づける方針を固めた。文科省は、3月までに受け入れ方針の事例集を作成し、来年度中には受け入れ方針に盛り込む事項に関するガイドラインをまとめ、各大学に提供。関係省令の改正も行う。これまでも、学校教育法施行規則の中に、受け入れ方針の策定を求める規定はあったが、方針に盛り込む内容までは明確にしておらず、大学側に受け入れる学生像を描かせることで、入学する学生の質確保につなげることを見込む。薬学部では、各大学が育成する薬剤師像に沿った入学者選抜の実施が徹底されることになりそうだ。
受け入れ方針策定の義務化は、昨年12月の中教審答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」を踏まえ、文科省が今後取り組むべき重点施策とスケジュールを明示した「高大接続改革実行プラン」に盛り込まれている。同プランではアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)の策定だけでなく、「ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)の一体的な策定を義務づける」としており、各大学は入試の募集要項などで受け入れ方針を明示し、これに沿った入学者選抜を実施するよう求めている。
これまでにも、受け入れ方針の策定を求める規定はあったが、「しっかり書いている大学もあれば、そうでない大学もあった」(文科省)ことから、方針の策定を義務化すると共に書き込む内容を明確化し、「入学してほしい学生像」を示した上で、大学の強みや特色に沿った入学者選抜を行うこととした。
薬学部・薬科大には、薬剤師国家試験合格という明確な目標があるため、学力が一定の水準に達していない学生は、留年や卒業見送りになるなど、出口の段階である程度選別される仕組みになっている。
ただ、受け入れ段階では定員割れの問題などもあり、入学者の選抜が適正に行われているとは言えない大学もあり、そうした大学にとっては、これまで以上に丁寧な入学者選抜の実施が求められることになりそうだ。