■評価の仕組みも導入
文部科学省の「薬学実務実習に関する連絡会議」は10日、新たな「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に則した実務実習を円滑に行うためのガイドライン(GL)をまとめた。新コアカリに明示されている「薬剤師として求められる基本的な資質」を習得するため、各大学が主体的に実習に関わり、実習を行う病院、薬局と連携することや、実習の枠組みを現行の3期制から4期制に変更し、病院と薬局で行われる実習に連続性を持たせることなどを求めた。大学や指導薬剤師、実習施設を評価する仕組みも新たに導入することなどを盛り込んでいる。今後、大学や薬局、病院は、2019年のコアカリに準拠した実習開始に備え、受け入れ施設の状況などを毎年確認し、検証する。
GLでは、新コアカリが全ての実習生が標準的に広く学ぶ「代表的な疾患」として、癌や高血圧、糖尿病、心疾患、感染症などを提示していることを踏まえ、これらの疾患の患者に可能な限り関わるようにすることを求めた。
実習の内容については、原則として、病院では患者の薬物治療を経時的にモニタリングしながら学び、薬局では地域住民の薬物治療、在宅医療、セルフメディケーションの実践を学ぶことなどを盛り込んだ。
また、実習期間は計22週間で各施設11週間を原則とするが、「実習→ふりかえり→実習→ふりかえり」を連続して行うことで、「最も効果的な実習が可能になる」とし、実習を調整機構において4期制で割り振ることを提案した。
ただ、実務実習が4期制になり、学生が習得すべき知識や技能が増えると、これまでに比べ参加施設数が減ることが想定されるため、実習施設数や受け入れ者数を増やす取り組みを進めることも明記した。
実習でどのような指導が行われているのかを把握し、教育の改善につなげていくというサイクルを循環させるため、大学は実施計画書や実務実習記録を定期的に精査し、実習の進捗や指導薬剤師、実習担当教員の指導の状況などの把握に努める。
改善を要する事項があれば、改善策の申し入れや改善に向けた協議を行うほか、実習修了時には、薬学教育協議会が地域の関連団体とも連携し、大学と実習施設に対し実習に関する調査を行う。ただ、実施内容に明らかに不備がある場合は、各大学の責任者や施設の責任薬剤師に通達して改善を求める。
■実習生受入人数、1病棟1人、薬局2人
この日の会合では、4期制の実施に向け、安定的に割り振りが行えるようにするためのシミュレーションを行うことや、実習の受け入れ枠を増やすため、実習施設の要件を見直し、今後、日薬と日病薬が検討に入ることも確認した。
病院実習では、1病棟に実習生1人とし、1病院において病棟数と同数の実習生を受け入れられるような上限の見直しを行う。
薬局実習については、これまでの1施設につき「2人まで」を「2人」とすることを原則とする。文科省は、「現在1人の施設は2人受け入れてもらうという趣旨」と説明した。