自己申告に頼らざるを得なかった幸福感の定量化
株式会社日立ハイテクノロジーズは2月9日、人間行動データを取得・解析し、組織生産性に強く相関する「組織活性度」を計測できる新ウエアラブルセンサを開発したと発表した。同製品は、株式会社日立製作所が開発した、集団の幸福感を身体運動の特徴パターンから「ハピネス度」として定量化する技術を活用したものである。
画像はニュースリリースより
幸福の向上は、社会の最も重要な課題の1つであり、近年、文部科学省が「ハピネス社会の実現」をめざす研究プログラムを推進している。最近の研究では、人の幸福感は組織の生産性に大きく影響することが報告されているが、これまで幸福感や組織の活力を定量化するには、アンケートによる自己申告に頼らざるを得なかった。
このため、企業組織では、経営施策や職場環境などが従業員の幸福感や活力にどのように影響しているか、リアルタイムに定量化し、客観的に評価することは困難だった。
自己評価尺度「CES-D」を元にデータを算出
今回、日立ハイテクが開発した新ウエアラブルセンサは、身体運動の特徴パターンを取得し、個人の活性度を演算後、組織の複数人で集計・平均することで、「組織活性度」の定量化を実現。同製品の液晶画面には、行動継続時間や個人の活性度トレンドが表示され、装着者はリアルタイムに個人の活性度を確認することができるという。
日ごとの「組織活性度」の変動の推移は、クラウドサービス上で提供され、ウェブブラウザで確認することが可能。さらに、この期間のユーザーの身体運動などセンサで取得されたデータの一部は、ウェブからダウンロードすることができるという。このデータをExcelなどで読み込むことで、組織生産性の向上に相関のある行動の抽出し、業務改善や生産性向上などを支援することを目的としている。
日立は、2004年から人間行動の客観計測技術の研究開発に取り組み、大量の人間行動データを解析することで、組織状態の把握や企業の業績向上策を見出す手法を開発してきた。今回は、7社、10組織、468人の従業員の、業務中の延べ約5,000人日、50億点の身体運動を表す加速度データをウエアラブルセンサで取得し、集団の「ハピネス度」を示すデータとの相関解析を実施。集団の「ハピネス度」は、米国国立精神保健研究所により開発され、世界中で普及している抑うつ傾向の自己評価尺度CES-Dを元に算出したデータを用いたという。
▼外部リンク
・株式会社日立ハイテクノロジーズ ニュースリリース