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神戸医療イノベーションフォーラム、集大成の第5回開催

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2015年02月10日 AM11:45

集大成にふさわしいプログラム、メンバーが結集

最前線で活躍する医師が最先端のICTに取り組めば、医療の何が変わるのか。何を変えるべきなのか。そして生命医学の次世代のリーダーをどう育成するのか。「文部科学省科学技術人材育成費補助金ポストドクター・キャリア開発事業」として採択された「神戸大学生命医学イノベーション創出リーダー養成プログラム」が今年度で終了するにあたり、5回目の最後となる「2015」が、2月8日、神戸ポートピアホテルで開催された。


吉田松陰の言葉を挙げた佐賀県職員の円城寺雄介氏

2010年の採択、プログラム開始から毎年開催されてきたこのフォーラム、生体質感造形をキーにさまざまな医療技術の開発、教育システムの改善にかかわり、このプログラムでもコーディネーターを務める杉本真樹氏(神戸大学大学院 医学研究科内科学講座 消化器内科学分野特命講師)をはじめ、自らも企業を率い、臨床に関わり続けながらソリューションを実際に生み出している宮川一郎氏(習志野台整形外科内科院長)などが語る、医療ICT分野の活きたプラクティスに触れられるとあって、毎年大きなインパクトを与えてきた。今年は最後の集大成を意識したプログラムが組まれ、例年にも増して錚々たるメンバーが一同に会した。主な演者、題目は以下の通り。

  • 「医療健康情報共有によるQOLマネージメント・コンセプト」
    (宮川一郎/習志野台整形外科内科院長)
  • 「地域包括ケア次代に求められる医療者・患者の意識改革」
    (遠矢純一郎/桜新町アーバンクリニック 院長)
  • 「佐賀県 IT 救急医療から学んだ3つの変革」
    (円城寺雄介/佐賀県統括本部情報・業務改革課主査 総務省ICT地域マネージャー)
  • 「21世紀デジタル産業革命 × 医療」
    (林信行/フリージャーナリスト)
  • 「視覚障害者を情報障害から救うiPad・iPhoneの実践活用法」
    (三宅琢/眼科医 神戸理科学研究所客員研究員)
  • 「骨折治療から着想した新たな再生医療とバイオ3Dプリンタの開発」
    (中山功一/佐賀大学大学院工学系研究科先端融合医工学教授)

杉本氏「破壊的イノベーションが次代を変える」

まずは杉本真樹氏によるプログラムの報告から始まり、宮川氏からは個人の医療情報を電子化した命の「MICカード」などの、いま臨床で使われ始めている実例の紹介、三宅氏からは、自らも関わる視覚障害者をサポートするiPadの活用法・アプリなど、実際に関わることだからこそ分かる、具体的な報告が行なわれた。林信行氏からは欧米発の医療アプリの最新情報、中山氏からは日本でも各地で動き始めているバイオ3Dプリンタによる組織生成の試みなど、ICTがもたらす医療技術自体の進化についてもレポートがあった。

佐賀県職員の円城寺雄介氏は、TBS「夢の扉+」でも取り上げられ話題となった、全国で初めて救急搬送時間の短縮をもたらした救急医療情報共有システムについて振り返ったほか、なぜこのシステムを構築しようと思ったのか、その思いを率直に語り来場者の感銘を呼んだ。スペシャルトークセッションでは、現在高校1年生の山本恭輔さんをゲストに招いた。彼は中学生の頃から「デジタルで世の中の役に立ちたい」という思いを持ち、杉本医師から自分の上半身の模型をプレゼントされ、医療や健康について改めて考え、その思いをアウトプットしていくようになったという、「スーパー高校生」と呼ばれる存在だ。「本気の大人を見れば、子どもは変わる」という情熱的なプレゼンを終えた彼に、来場者はスタンディングオベーションで応えた。

最後に再び登壇した杉本氏は、生体質感造形がもたらしてきたイノベーションについて語った後、集大成にふさわしく、イノベーションを阻む「3つの障害」と、本当に求められるイノベーションとは何か、を情熱的に語った。「それまでの何かを壊すくらいの、破壊的イノベーションこそが世界を変える」とし、それをこれから実現するのは自分たちも含め、ここにいる皆さんだと語りかけ、フォーラムを締めくくった。

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