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老化に伴う動体視力低下のメカニズムを解明-阪大

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2015年02月10日 PM05:30

網膜視細胞のシナプスの位置が関与

大阪大学は2月6日、同大蛋白質研究所分子発生学研究室の古川貴久教授と佐貫理佳子助教らの研究グループが、光をキャッチして電気信号に変換する役割を担う視覚系の最初の神経細胞である網膜視細胞のシナプスが正常な位置に形成されるしくみを明らかにし、動体視力に必須であることを示したと発表した。


画像はプレスリリースより

この成果は、神経回路において神経細胞のシナプスが一定の位置に形成される意義を明らかにするとともに、高齢ドライバーの運転能力低下への関与が考えられている老化に伴う視覚能力の低下のメカニズムの解明につながるものと考えられる。

加齢による視機能低下のメカニズム解明に貢献の可能性

研究グループは、網膜視細胞のシナプス形成の研究から、視細胞のシナプス側の膜輸送に関わる4.1Gタンパク質を同定。4.1G欠損マウスの網膜では、本来、細胞体層の外側にある外網状層に形成されるはずの視細胞のシナプスが細胞体のそばで異所性に形成されていることを見出したという。

さらにシナプスの位置の異常は、4.1Gタンパク質を介した膜輸送機能が低下することによって生じることを明らかにし、4.1G欠損マウスでは、動体視力が低下していることも見出した。これらの結果から、4.1Gタンパク質が視細胞のシナプスの位置決定に必須であることを明かすとともに、シナプスが一定の場所で形成されることが正常な視覚機能に必須であることを証明したとしている。

この研究結果は、高齢者の加齢による視機能低下のメカニズムの解明に貢献するだけでなく、脳において正常な神経回路と脳機能を維持する手段を見つけるための手がかりになると、研究グループは述べている。

▼外部リンク
大阪大学/科学技術振興機構 プレスリリース

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