Varp分子の新たな結合パートナーとしてRab40Cを同定
東北大学は2月5日、同大大学院生命科学研究科の谷津彩香修士大学院生、島田光修士大学院生、大林典彦助教、福田光則教授らグループが、メラニン合成酵素の分解を促す新分子を同定することに成功したと発表した。この研究成果は、英科学雑誌「Biology Open」電子版に2月6日付で掲載されている。
画像はプレスリリースより
有害な紫外線から体を守るメラニン色素は、メラノソームと呼ばれる小胞の中でメラニン合成酵素によって合成されている。メラニン合成酵素は、メラノソームにはじめから存在する訳ではなく、メラノソームの袋の元ができた後に、メラノソームへ輸送されることが知られている。研究グループはこれまで、この輸送を制御する分子としてVarp(バープ)を同定しており、この分子の発現異常によりメラニン合成酵素の分解、すなわちメラニン色素量の減少が促進されることを見出していた。しかし、メラノサイトにおけるVarp分子の発現調節に関わる仕組みはこれまで全く分かっていなかった。
新分子をターゲットにした新たな美白剤への応用に期待
今回、研究グループはマウスでの実験により、Varpに結合する新たな分子としてRab40Cを同定することに成功。Rab40CはVarp分子のユビキチン化を促進し、プロテアソームと呼ばれるタンパク質分解酵素でVarp分子を分解に導くことが明らかになったという。つまり、Rab40Cをメラノサイトに過剰に発現させるとVarp分子の分解が、逆にRab40Cの発現を低下させるとVarp分子の蓄積が観察されるが、メラニン合成酵素の輸送には適切な量のVarpが必要なため、いずれの場合でもメラニン合成酵素がメラノソームに正しく輸送されず、結果的に分解されるとしている。
今後、Rab40CなどVarp分子の分解に関与するタンパク質をターゲットとした薬剤スクリーニングが進めば、メラニン合成酵素の分解を促し、しみやそばかすの予防、美白の維持が可能になるものと考えられる。研究グループは、今回の「メラニン合成酵素には直接作用せず、メラニン合成酵素の分解を促進する分子」の発見により、従来のアプローチとは異なる美白化粧品の開発への応用が期待できるとしている。
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・東北大学 プレスリリース