徳島大学を中心とする多施設臨床研究で明らかに
徳島大学は2月4日、血液の遺伝子のDNAメチル化修飾という化学反応を複数組み合わせることにより、うつ病患者とうつ病でない人とを判別できる可能性のあることを明らかにしたと発表した。
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これは、厚生労働省の研究班の主任研究者である徳島大学精神科神経科の大森哲郎教授と沼田周助講師らの研究グループが、広島大学、高知大学、神戸大学、徳島大学人類遺伝学教室、東京農工大学との共同研究によって得られた結果。この成果は、英科学誌「Epigenetic」電子版に掲載されている。
うつ病の生涯有病率は一般人口の5~8%と頻度が高い疾患で、ストレスなどのさまざまな要因により生じると考えられている。うつ病の診断は、抑うつ気分や意欲低下などの臨床症状に基づいて行われており、診断に苦慮する例もある。よって、うつ病の診断マーカーの開発は、早期診断・早期治療・治療予後改善に寄与すると考えられていた。
うつ病の診断マーカーの開発に役立つ可能性
今回研究グループでは、ストレスなどの環境要因がDNAメチル化修飾に影響を与えることに注目。薬を内服していない日本人のうつ病患者20名と、うつ病でない19名の血液を採取して、網羅的に多くの遺伝子のDNAメチル化修飾レベルを測定、比較し、うつ病群とうつ病でない群に分けることができる遺伝子の選定を行った。
次に、独立したうつ病患者12名と、うつ病でない12名の血液を採取し、選定したマーカーに再現性があることを確認。血液のメチル化を利用したうつ病の診断マーカー同定の可能性を示したという。これらの研究成果は、うつ病の客観的な診断マーカーの開発に役立つことが期待されると、研究グループは述べている。
▼外部リンク
・徳島大学 報道発表