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DNAの突然変異が引き起こされる仕組みを解明-京大

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2015年02月06日 AM06:00

「DNAの傷を乗り越えてコピーできない」という考えを覆す

京都大学は2月3日、医学研究科の武田俊一教授と首都大学東京理工学研究科の廣田耕志教授が、ケンブリッジ大学のセラ教授と共同で、DNAの変異が発生する分子機構を世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究成果は、1月27日付けで英科学雑誌「Nucleic Acids Research」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

ヒトは、30億文字にものぼるゲノム情報を、DNAを通じて次の世代へ受け渡しているが、遺伝情報を受け渡すためには「正確」に情報のコピーを行う必要がある。複製ポリメラーゼδは、正確にDNAをコピーし、自らエラーを見い出し直すことが可能だ。一方、DNAには放射線や紫外線だけでなく、呼吸などの代謝反応によっても、1日1細胞あたりに10万程度傷が発生しているが、傷があるとコピーを継続できず、複製ポリメラーゼは機能停止すると考えられていた。

このように多発するDNAの傷でコピーが停止すると、複製ポリメラーゼはTLSポリメラーゼと呼ばれる特殊なポリメラーゼ群にスイッチし、コピーを肩代わりしてもらい、停止しないようにしている。その際、TLSポリメラーゼによるコピーでエラーが発生し、突然変異の主要な原因になると考えられていた。

がん治療薬の開発、ま化学物質の発がん性評価への応用に期待

今回研究グループは、傷ついたDNAでの複製ポリメラーゼδの動きについて詳細な解析を実施。複製ポリメラーゼδの機能を変異で一部弱めたところ、DNAの傷を乗り越えてコピーすることが出来なくなっていたという。また、複製ポリメラーゼδがDNAの傷を乗り越えてコピーをする場合にも、突然変異が大量に発生することが明らかとなった。さらに、この乗り越えは、従来のTLSポリメラーゼと独立して行われている事実が判明したという。

近年、がん細胞ではDNAの傷を乗り越えてコピーする活性が増加しており、抗がん剤の効果を低下させる原因となっていることが分かっている。研究グループは、今回解明した「乗り越えてコピーする機構」を標的とする効果的ながん治療薬の開発、また化学物質の発がん性評価にも応用が期待されると述べている。

▼外部リンク
京都大学 研究成果

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