医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 日本漢方生薬製剤協会、生薬栽培の品質確保手引き“日漢協版GACP”を作成―トレーサビリティの実現目指す

日本漢方生薬製剤協会、生薬栽培の品質確保手引き“日漢協版GACP”を作成―トレーサビリティの実現目指す

読了時間:約 2分12秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年02月06日 AM09:45

日本漢方生薬製剤協会は、漢方薬原料となる薬用植物の栽培と採取、加工に関する手引き「」を取りまとめた。気象条件などの影響を大きく受ける薬用植物に関して、栽培段階での注意点や基本的な手順などを明文化し、漢方薬メーカーと産地側が協力して生薬栽培に取り組むための参考材料として役立てたい考え。一部の漢方薬メーカーではGACPを作成しているが、今年から業界団体として運用させる方向。漢方薬原料の安定確保に向け、国内で生薬栽培が加速する中、漢方製剤の製造、医療機関への流通まで一元管理できる仕組みづくりを目指していく。

生薬の品質は、その元となる植物の栽培方法や生育環境、収穫、採取、加工、輸送、保管などに影響を受けるほか、化学物質や微生物汚染といったリスク管理も必要になる。品質を確保するための生産技術を規定しているのが、GACPとなっている。海外では、2003年に世界保健機関(WHO)が野生の薬用植物を含めたGACPガイドラインを発刊し、中国でも、薬用植物栽培と野生品採取に関する生産管理が進められている。

日本の生薬栽培については、もともとWHOのGACPガイドラインの「ANNEX3」で収載されていたが、日漢協生薬委員会がこれを参考に、より分かりやすい形で日漢協版GACPの取りまとめを行った。内容は、▽薬用植物の栽培▽野生薬用植物の採取▽加工(収穫後または採取後の処理)▽加工終了後の工程▽従事者の健康と安全▽従事者に必要な知識▽自己点検――などの項目について、日本語、英語、中国語で記載している。

漢方薬メーカーの業務手順を定めたものではなく、産地側に遵守してもらうべき内容となっているため、自主基準(ガイドライン)ではなく手引きとした。薬用植物の栽培化に向けたマッチングが加速し、既に圃場での試作もスタートしているものの、栽培段階での品質管理をめぐっては、まだまだ認識に隔たりが見られている。日漢協では、産地側が栽培に着手するに当たって、栽培計画や手順を決定する際の参考情報として、GACPを活用してもらいたい考えを示している。

日本が正式加盟したPIC/S―GMPに漢方製剤も対応が求められる中、生薬栽培から製造・流通の全工程を管理する“”の仕組みづくりが欠かせない。12年2月には、厚生労働省から生薬・漢方生薬製剤の製造・品質管理に関する自主基準が取りまとめられ、生薬管理責任者業務の要件として、生薬の起源となる産地情報の項目が加えられた。具体的には、薬用植物の収穫時期や採取手順、使用された可能性のある農薬、乾燥方法などの生産記録を管理することが求められている。

今回の手引きには、産地側が生産記録を行う際の参考様式を付加している。日漢協生薬委員会副委員長の吉村宏昭氏は、本紙の取材に対し、「生産者の方々には、栽培・加工などの品質管理はもちろん、生薬の生産工程をしっかり記録し、保管することをお願いしたい」と理解を求め、「“医薬品をつくる”意識が高まり、生薬栽培が活性化していくことに期待したい」と語った。

今後、日漢協ホームページでもGACPを公開する予定。実需側と産地側のマッチングを通じて現場でGACPがどう運用されているかをモニタリングし、必要に応じて改訂していくとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果