インフルエンザウイルス高感度検出技術を応用
富士フイルム株式会社は、フランスの感染症・微生物学分野の最先端の公的研究機関であるBIOASTER(バイオアスター)と、エボラ出血熱の迅速診断システムに関する共同研究契約を2月2日に締結したと発表した。
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富士フイルムは、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用することで、一般的な診断薬と比較して約100倍の高感度でインフルエンザウイルスを検出できる「超高感度イムノクロマト法インフルエンザ診断システム」を開発。同システムは、2種類の抗体を用いて検体のウイルスの有無を識別するもので、簡単な操作によって3分半~15分で判定結果を得ることができる。発症初期のわずかな量のインフルエンザウイルスでも検出を可能にした独自技術が高く評価され、医療機関への導入が進んでいる。今回の共同研究ではこの技術を応用し、エボラ出血熱迅速診断システムを開発するという。
バイオアスターは、フランスのリヨン市にある感染症分野の産業クラスターであるLyon Biopole(リヨン バイオポール)や感染症の世界的研究機関として知られるパスツール研究所、フランス国立保健医学研究機構INSERM(インサーム)などのフランスの研究機関から資金提供を受け、感染症・微生物学の研究を行っている公的研究機関である。
初動対策に重要な迅速診断システムの技術を確立
現在、西アフリカで流行しているエボラ出血熱を封じ込め、今後の大規模感染を防止するためには、治療薬やワクチンの早期実用化のみならず、感染者を初期段階で発見し、感染経路を遮断する初動の対策が重要とされる。このため、感染の疑いが報告された場所で、簡便かつ迅速に除外診断を行うための新たな技術・製品の開発が求められている。
今回の共同研究は、富士フイルムのウイルス高感度検出技術と、感染症の分野で豊富な経験とノウハウを持つバイオアスターが作製・評価するエボラウイルスの抗体を用いることで、現在エボラウイルスの確定診断に利用されている遺伝子検査同等の高い診断能力を有し、簡便、迅速、小型で可搬性に優れた、エボラ出血熱の迅速診断システムの技術を確立することが目標だという。
なお、今回の研究には、最も毒性が強いウイルスなどを扱うことが可能なBSL4高度安全実験室を使用。エボラウイルス陽性検体を用いた評価を行うため、インサームやジャン・メリュー高度安全実験室などのフランスの公的研究機関の協力も得て研究を進めていくとしている。
▼外部リンク
・富士フイルム株式会社 ニュースリリース