細胞医療の実用化を目指し、共同研究講座を設置
大阪大学とアステラス製薬株式会社は2月2日、次世代の細胞医療に関わる基盤技術開発、実用化を目指す共同研究講座の設置に関する契約を締結したことを発表した。
画像はニュースリリースより
この契約に基づき、大阪大学大学院医学系研究科に「未来細胞医療学共同研究講座」(世話教員:外科学講座心臓血管外科学、澤芳樹教授)を設置。生命機能研究科生命システム棟を実験場所として、次世代の医療として期待される細胞医療の実用化を実現させるために必要な新たな技術基盤の開発を行っていく予定としている。
再生医療研究に関わる基盤技術の確立や、細胞医薬の創製
細胞医療は、既存の薬物療法で実現できない高い治療効果を実現することが期待される最先端技術だが、細胞移植治療では十分な効果が発揮されていない疾患が残されているのが現状だ。また、他家細胞移植治療における拒絶反応など、治療法として確立されるまでにはまだ多くの課題がある。こうした課題を解決し、高い治療効果を得られる細胞医療研究の基盤技術開発は、次世代医療の確立に不可欠と考えられている。
大阪大学はこれまで、国内の再生医療実現拠点の一つとして、心臓疾患や眼科疾患の治療用細胞の調製と臨床応用、三次元組織の構築、培養基材の開発などの分野で多くの重要な研究成果をあげてきた。一方のアステラスは、2014年4月に、従来の再生医療への取り組みを拡大し、細胞医療の取り組みを本格化させるための専門研究組織「再生医療ユニット」を新設している。
今回発表された共同研究講座で行われる具体的な研究は、輸注・移植細胞のソース、細胞加工技術を、疾患に応じて最適化することで、 輸注・移植細胞を高機能化させ、治療効果を高める技術を開発していくもの。さらに、移植細胞による免疫応答や体内動態、安全性を解析し、他家細胞移植治療の実用化のための研究開発も行うという。
同講座では、再生医療・細胞医療の大学及び企業の専門家、研究者による共同研究を通じて、細胞医療研究に関わる基盤技術の確立、早期臨床試験入りの実現を目指すほか、細胞医薬の創製に取り組んでいくとしている。設置期間は、2015年1月からの3年間を予定している。
▼外部リンク
・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース