甲状腺がんに係る適応で申請中の新規抗がん剤
エーザイ株式会社は1月30日、同社が創製した新規抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩(一般名)」が、切除不能または転移性腎細胞がんを対象とした臨床第1/2相試験(205試験)の第2相パートにおいて、主要評価項目を達成したと発表した。
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レンバチニブは、血管新生や腫瘍増殖に関わる受容体であるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬。特に、甲状腺がんに対しては、新たな結合様式(タイプ V)を有することが確認された初めての薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すという。
同剤は、甲状腺がんに係る適応で、2014年6月の日本での申請をはじめとして、米国、欧州、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシアで申請中だという。また、肝細胞がん(フェーズ3)や子宮内膜がん、非小細胞肺がん、腎細胞がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第2相試験も進行中である。
切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療併用療法の優位性を示唆
今回の第2相試験は、VEGFおよびその受容体を標的とする薬物による治療歴を有する切除不能または転移性腎細胞がんの患者を対象とした、レンバチニブ/抗がん剤エベロリムス併用投与、レンバチニブ単剤投与、エベロリムス単剤投与の3群の有効性と安全性を比較する、多施設共同、無作為化、非盲検試験。153人の患者がレンバチニブ(18mg)とエベロリムス(5mg)の併用投与群、レンバチニブ単剤(24mg)投与群、エベロリムス単剤(10mg)投与群の3群に、1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。
同試験の速報結果では、併用投与群およびレンバチニブ単剤投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を延長し、特に併用投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して統計学的に顕著な有意差をもってPFSを延長したという。同試験において確認された主な有害事象は、併用投与群では、下痢、食欲減退、疲労、悪心、高血圧であり、レンバチニブ単剤投与群では、下痢、悪心、食欲減退、高血圧、疲労、嘔吐だった。なお、詳細な試験結果は今後、学会にて発表する予定としている。
今回の試験結果は、根治切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療として全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)の診療ガイドラインで推奨されている薬剤のひとつであるエベロリムス単剤に対して、レンバチニブ/エベロリムス併用の優位性を示唆するもの。現在、世界の主要国で、根治切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療の適応で承認されている併用療法はないため、同社は今回の試験結果を審査当局と共有して、今後の開発計画を協議していきたいとしている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース