消化器自覚症状、心理自覚症状およびストレスマーカーを検査
東邦大学は1月27日、同大医療センター大森病院総合診療・急病センターの瓜田純久教授の研究チームと株式会社ヤクルト本社中央研究所が行った共同研究によって、ビフィズス菌「ビフィドバクテリウム ビフィダム YIT 10347」(B.ビフィダムY株)を含む乳酸菌飲料が、機能性消化管障害患者の消化器症状および心理症状を改善する効果を確認したと発表した。
画像はプレスリリースより
B.ビフィダムY株が1本あたり10億個以上含まれる乳酸菌飲料を被験者に1日1本(100ml)、4週間飲用してもらい、飲用4週間後および飲用を中止してから4週間後の消化器自覚症状、心理自覚症状およびストレスマーカーの検査を行った。
機能性消化管障害患者のQOL向上に期待
被験者の消化器自覚症状(腹痛、下痢、便秘、消化不良)は、GSRS(Gastrointestinal symptom rating scale)およびFSSG(Frequency scale for the symptom of GERD)により評価。その結果、B.ビフィダムY株を含む乳酸菌飲料を4週間飲用した後は、飲用前と比較してGSRSの腹痛、下痢、便秘のスコア、FSSGの消化不良スコアが有意に低値を示し、症状軽減されたという。
被験者の心理自覚症状(イライラ(怒り)、活気)については、POMS(Profile of Mood States)短縮版で評価。飲用前と比較して「イライラ感(怒り)」のスコアが有意に低値を示し「活気」のスコアが高値傾向を示し、これらの症状が改善されたとしている。さらにストレスにより上昇する唾液中のコルチゾール濃度を測定したところ、飲用前と比較して有意に低値を示し、ストレスが軽減された可能性が示唆されたという。
今回の試験に用いた乳酸菌飲料に含まれるB.ビフィダムY株は、胃の防御因子である胃粘液の産生を亢進すること、生きて腸にまでとどくことが明らかになっている。このことから、B.ビフィダムY株は、胃では防御因子の増強により胃液による胃のダメージを軽減し、腸においては、腸内フローラのバランスを整え、消化管症状を改善した可能性が考えられるという。研究チームは今回の結果について、B.ビフィダムY株を含む乳酸菌飲料が心理ストレスであるイライラ感を軽減し、胃腸の不快感を改善することで、機能性消化管障害患者のQOLの向上に役立つものと期待されるとしている。
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・東邦大学 プレスリリース