細胞分裂を統御するcdk1の標的たんぱく質が初めて示される
九州大学は1月21日、同大大学院理学研究院の佐方功幸教授、システム生命科学府博士課程3年の鈴木和広氏らの研究グル-プが、細胞分裂を統御するリン酸化酵素(Cdk1)の重要な標的タンパク質を発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
Cdk1は標的タンパク質(基質)をリン酸化し、染色体の凝縮や核膜の崩壊などの分裂期現象を引き起こすもの。今回の研究では、Cdk1が新しい基質の特定共通アミノ酸配列を認識・リン酸化し、細胞の分裂開始やがん化に関わる可能性を初めて示されたという。
新規の「非S/T-P配列」をリン酸化、細胞分裂の諸現象やがん化に関与
Cdk1はその発見後、多くの基質の特定共通アミノ酸配列をリン酸化することが示されていた。その共通アミノ酸配列はセリン(S)またはスレオニン(T)にプロリン(P)が隣接した「S/T-P」という配列であり、Cdk1はそのS/Tをリン酸化する。しかし、いくつかのタンパク質では、Cdk1がPの隣接していないS/Tをリン酸化することが示されており、これらは例外的なものとされてきた。
しかし今回の研究で初めて、Cdk1がこれまで未知であった新規の「非S/T-P配列」をリン酸化し、細胞分裂の諸現象やがん化に関与することが示唆された。
同研究成果は、細胞分裂やがん化の分子機構の解明につながることが期待される。なおこの成果は、国際学術誌「Nature」姉妹誌のオンラインジャ-ナル「Scientific Reports」に1月21日付で掲載されている。
▼外部リンク
・九州大学 プレスリリース