■厚労省検討会 4月から申請受付開始へ
厚生労働省の検討会は23日、医療法に定める「臨床研究中核病院」の承認要件案を大筋で了承した。国際水準の臨床研究等を手がける拠点となることから、適切な管理体制(ガバナンス体制)が確保できているかチェックしたり、実務経験3年以上の専従の臨床研究コーディネータ(CRC)を12人以上配置すること等を定めた。厚労省は、報告書を修正し、まとめた上で、来月中に政省令改正の意見募集を行い、4月からの施行を目指す。
実施体制要件のうち、研究管理体制については、病院長が管理、監督するための体制整備をすることとし、不適正事案の調査を行い、必要に応じ改善を指示したり、再発防止策の策定や関係者の処分等の是正措置を講じるとした。管理体制を中立的立場から監査する委員会の設置も明記した。申請時点における過去のデータ改ざん等の不適正事案は、必要な是正措置が講じられていることを確認するとし、過去の不適正事案があっても申請資格を得られる余地を残した。
臨床研究支援体制は、中核病院が行う特定臨床研究を支援する部門の設置、医療安全管理に関する体制整備を盛り込み、特定臨床研究で用いる治験薬等の管理を行う担当者として、治験薬の管理に知識と経験を持つ薬剤師等を配置することとした。
実績要件は、特定臨床研究を計画し、実施する能力の目安として、過去3年間に自ら実施した医師主導治験が4件以上か、医師主導治験が1件以上であり、医薬品を用いた医師主導臨床研究が80件以上、質の高い臨床研究論文が年間15件以上などと規定した。
人員要件については、臨床研究に携わる薬剤師として、臨床研究管理センターなど支援・管理部門に所属する常勤の薬剤師数が10人以上、実務経験3年以上の専従のCRCが12人以上、実務経験2年以上の専従データマネジャーが3人以上などと定めた。
これらの要件を満たした中核病院について、不正事案の相次ぐ発生を踏まえ、ガバナンス体制の厳格な審査体制を整備することも要求。要件については適宜見直していくことが適当とした。
委員からも「いったん承認して終わりではなく、入れ替え戦があって当然。新規参入を意識した競争の仕組みが必要」といった意見が出た。
今後、厚労省は、修正した報告書をまとめた上で、政省令改正により承認要件を規定する対応を予定。