新しい形態のテーブルトップ型対話ロボット
科学技術振興機構(JST)は1月20日、社会的対話ロボット「CommU(コミュー):Communication Unity」と「Sota(ソータ):Social Talker」を開発したと発表した。これらは、JSTの戦略的創造研究推進事業において、大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授と吉川雄一郎准教授らと、ヴイストン株式会社が共同で開発を行った。
画像はプレスリリースより
近年のロボット研究では、人間と対話できるロボットの開発が注目されているが、人間が人間と対話しているときに抱く「対話感」(対話に参加している感覚)と同等の感覚を与えられるロボットの開発は実現されていなかった。
そこで同研究グループは、複数のロボット同士の対話を人間に見せることを基本に、高度な対話感を実現する新しい形態のテーブルトップ型対話ロボットの開発を行ったという。
発達障害の専門クリニックに導入、療育プログラムの開発を検討
CommUは、眼球部、頭部、胴体部からなる豊富な自由度を持つ機構を用いることで、多様な視線表現を実現。これらの機能によって、人間に似た微妙な社会的振る舞いをすることが可能だという。また、ロボット同士が対話しながら、時折、参加者(人間)に質問をして、同意を求めることで、参加者がロボットとの対話感を覚えながら、ロボットの話を聞くことができるという。
一方Sotaは、CommUの機構に基づき、人間と関わるロボットを広く普及させることを目的に開発されたロボットプラットフォームとなる。CommUに比べてよりシンプルな機構を採用するとともに、ロボットクリエイターの高橋智隆氏による親しみやすいキャラクターデザインを取り入れ、一般家庭への普及を目指していくという。
今後は、対話感の実現のための「社会的振る舞い」の実装を進めるとともに、ソフトウェア・コンテンツ開発環境を整備し、プラットフォームとしての成熟を図るという。また、自閉症スペクトラム障害などのコミュニケーション障害を持つ子どもが通う、発達障害の専門クリニックの診察室に導入し、社会的対話ロボットとの対話を用いた療育プログラムの開発を検討し、社会への普及を進めるとしている。
▼外部リンク
・科学技術振興機構 プレスリリース